お斎と母の味
岩国市 会 員 片山 清勝
毎年、年の瀬に「親鸞聖人報恩講」が営まれ、退職後は欠かさずお参りしている。昨年も寒い朝だったが、参拝者で堂内はいっばいだった。法座が終わるとお斎を頂いた。野菜や穀類を中心とする精進料理。この日も地元でとれた新鮮な材料がおいしく調理されていた。このお斎を頂くと肉や魚をそれほど口にできなかった終戦直後の食卓を思い出す。
わずかな広さの畑で両親が作る大根や玉ネギ、ジャガイモなどがおかずの中心だった。保存できるサツマイモやサトイモもよく並んだ。これらが煮しめや、おひたしになって食卓に上った。キュウリやカボチャ、トマトなど色鮮やかな季節野菜が加わると食欲が増した。
同じ食材を使いないながら、毎日の食事を工夫していた母はすごかったんだな、とつくづく思う。こうした親の愛情のおかげでひもじい思いはしなかった。
豊かさが当たり前のようになっている現在、私たちの命をつないでくれている食べ物と、それを作ってくれる人たちへの感謝を忘れてはいないか。お斎を頂き、しばし懐かしい思い出に浸りながら、わが身を振り返らせてもらった。
(2012.01.30 中国新聞「明窓」掲載)


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