「墓参り」
岩国市 会 員 林 治子
「ようお参りなされましたのー」と住職の声に迎えられて山門をくぐる。
母が眠っているのはかなり奥だ。後ろに大きなイチョウの木がある。枝を広げて、まるで大きな手で母の墓を守っているかのよう。銀杏を一つひとつ拾いながら、いつしか母と話し込んでいた。「お母さんの手料理を食べたくなったわ」。ご飯、茶わん蒸し、おでんとこの時期は銀杏を入れた母の料理が食卓をにきわした。今は父と差し向かいで1杯やっているのかな?
いつしか辺りは夕闇が迫ってきていた。「気をつけて早うお帰りよ」。母の声がする。
(2009.11.12 毎日新聞「はがき随筆」掲載)


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