2017年4月23日 (日)

ワサビの花 春味わう

   岩国市   会 員   角 智之

 ワサビは、古くから根茎をおろし金ですりおろし、刺し身の香辛料として広く使用されている。
 年末から早春にかけて収穫される茎や葉は、しょうゆや酒かす漬けなどに利用されている。
 春が旬の花も、しょうゆ漬けがうまい。花茎は肥えて歯応えがよく、上品な辛みは食欲をそそり、酒のさかなにも重宝される。
 大まかな作り方は、スーパーや園芸店などでワサビの花を調達し、しょうゆをベースに酒やみりん、砂糖の他好みの調味料をブレンドした漬け汁を用意しておく。
 よく水洗いした花をざるに入れ、70度から80度の湯にくぐらせ、ふたをして5回程度強く振る。
 この作業を2、3回くり返した後、冷水に浸し、よく絞って広口瓶に入れ、漬け汁を注いで密閉する。2日程度で、おいしくいただくことができる。
 根茎よりも安く入手できるワサビの花のしょうゆ漬けを、ぜひお試しいただきたい。

    (2017.04.23 中国新聞「広場」掲載)

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2017年4月22日 (土)

陶芸 いつかは逸品を

   岩国市   会 員   片山清勝

 「世界で一つだけの作品を作ろう」と誘われて入会した陶芸同好会は、瀬戸内海を見下ろす標高500の県の施設で教わる。
 会長の人望と施設指導員の人柄から、サロン風のいい雰囲気で月2回の作品作りを楽しんでいる。
 先日、定期総会が開かれ活動事項や予算などが報告された。その資料に「第10回」とあり、年月の早さに驚きながら、これまで元気で続けられたことを喜び、仲間に感謝した。
 陶芸以外にも仲間たちの趣味は幅広い。何げない会話の中に、初めて知ることも多くあり、粘土作品とは違った学びも、また楽しみである。
 同じ物を作っても、完成した作品はみんな形が異なる。秀作に刺激を受け次の作品では、とひそかに思い粘土に挑戦する。 
 しかし、いまだに粘土に遊ばれる感じで、思い通りの作品が作れず毎回苦笑している。それでも、「いつか逸品を」と夢を持ち、元気と脳活のために手先と頭を使っている。

    (2017.04.22 中国新聞「広場」掲載)

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2017年4月14日 (金)

最後の花見

      岩国市  会 員   吉岡 賢一

4月生まれの母が満98歳の誕生日を迎えた折。例年のごとく満開の桜に合わせ、子や孫が集まり誕生祝いを兼ねた花見の宴を開いた。弱った体を車椅子に乗せ、皆で代わる代わる押し、すぐ近くの海の公園に。家を出る時は「わしゃ、もうええよ」と遠慮していた母が子や孫に囲まれたにぎやかさと見上げる満開の桜に、こぼれんばかりの笑顔で喜んでくれた。
 ほどなく大腿骨骨折で寝たきりに。その後2度の誕生祝いは桜もない青空も海の匂いもない介護施設のベッドの上だった。
 あれから8年。かの岸の人たちと桜を愛でているのかな。
   (2017.04.14 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

 

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2017年4月12日 (水)

描く趣味 書く趣味

     山陽小野田市  会 員   河村 仁美

 

帰省した時に、父が言った。「文章を書くのは苦手だなあ。文章は最後にまとめないといけない。絵はまとめてしまったら、面白くなくなる。だから絵を描く方が楽しいな」。私は「じゃあ、前のように絵を描いてみたらいいんじゃない。今度来る時に見るのを楽しみにしているから」と山口へ戻った。
 
 3ヵ月後、父がスケッチブックを見せてくれた。以前は絵の具だったが、今回はスケッチペンを使い何枚も描いていた。私もできたばかりの本を送った。
 
 昨年までは母と取り合って読んでいた本を今年は父一人でゆっくり読んでいることだろう。

2017.04.12 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2017年4月 9日 (日)

鬼の顔仏の顔

   岩国市   会 員   片山清勝

 「鬼のような顔で私に文句を言うんよ」と厳しい目つきで話す人。聞いていたひとりが静かに「その時、あんたの顔も心も鬼じゃったろう」と発した。
 人の胸中の感情は、腹の虫の機嫌がよければ仏、悪ければ鬼の顔になるという。この虫とは一生付き合わねばならない。いつも機嫌よくして仏になりたいが、難しいと悩む。
 鬼を見たことはないが、小学4年の学芸会で「泣いた赤鬼」の青鬼役を演じ、心優しく涙を流す鬼のいることを知った。
 もし、鬼の顔に出会っても、心優しい顔で交われるよう、虫の機嫌をよくしておこう。

     (2017.04.09 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2017年3月29日 (水)

孫娘を育んだ京都に感謝

   岩国市   会 員   片山清勝

 京都で生まれた孫娘が3歳になる頃、「ひらがなが読めるようになりました」と長男の妻からメールが届いたことがきっかけで、孫娘とのコミュニケーションを深めようと、「孫新聞」を作り始めた。不定期のつもりが面白くなって月刊で出すようになり、今月で190号になる。
 孫新聞はB5判で、庭の花や町内の行事、同好会の様子など、私たち夫婦の日々を小さな紙面に工夫して載せ、孫娘に郵送している。
 孫娘は生まれてから今日まで京都に育てられたのだと私は思っている。京都が好きなようで、小学生の時には祇園祭の手伝いをしていた。浴衣姿の写真を見て、「本当に京都の人になったのだな」と実感した。
 4月からは志望していた京都の大学に進学する。本人と親だけでなく、遠く離れて暮らす私たち夫婦も大喜びしながら、今日まで無事に孫娘を育んでくれた環境に感謝している。
 孫娘は選挙権を持つ年齢になった。国内外に目を向け、広い視野で物事を考えることができる学生生活を過ごしてほしいと願っている。そのためには、京都の皆さんの力をお借りしたい。これからも孫娘をよろしくお願いします。

    (2017.03.25 京都新聞「窓」掲載)

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2017年3月25日 (土)

母からの贈り物

  山陽小野田市  会 員   河村 仁美

 大学進学とともに実家を出て、早いもので38年。いつのまにか親と過ごした年月より離れて過ごした年月の方が長くなっている。その間、どこに住んでも実家の母から段ボールに入った贈り物が届いた。「そっちでも売っているよね」と母は言っていたが、定期的に届くのが楽しみだった。
 
昨年7月、母が急死した。「実家の母が亡くなって変わったと思うことはない?」と主人に尋ねたら、「ミカンが届かないね」と返答がきた。愛媛の実家からミカンが送られてくると、今年もこの季節がきたなとしみじみ感じていたので、何だか物足りない。農家ではないので、知り合いに頼んでわざわざ送ってくれていた母。毎年当たり前のように送ってくれていたが、本当にありがたかった。
 
実家からの荷物を開けたときに手紙を探すわくわく感。下に敷いてあったり、間にはさまっている新聞を伸ばして読むのも楽しみの一つだった。今、母がしてくれたように娘に荷物を送っている。自己満足かもしれないが、楽しみにしてくれることを信じて……。
 (2017.03.19 愛媛新聞「てかがみ」掲載)

 

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2017年3月15日 (水)

花見で同期集う幸せ

   岩国市   会 員   山本 一

 岩国市は錦帯橋の桜があるせいか、花見の盛んな所と勝手に自分で思っている。日記で確認すると、昨年は6回も花見をしている。
 あたかも虫に合わせるがごとく、毎年啓蟄の頃、幹事役の私が花見の連絡をする仲間がいる。
 昭和30年代に、岩国・大竹石油化学コンビナートができた。その一角にできた工場の第1期生として、1961年に入社した。
 まだ工場が完成していないため、同期入社の約20人が丸1年間、新潟県の工場で実習した。全員が寮生活で寝食を共にし、親から離れた開放感も手伝い、忘れられない青春の思い出となった。
 仲間意識が強く、お互い今も呼び捨てである。退職後も「36会」と称し、年に何回か飲み会をしている。花見はその中のメイン行事である。
 山陰育ちが妻に引つ張られて、岩国をついの住まいと決めた。当地の春は錦帯橋と桜のせいか、とりわけ居心地が良い。今年も花見で酒が飲める幸せをかみしめたい。 

    (2017.03.15 中国新聞「広場」掲載) 

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2017年3月 9日 (木)

広場欄 小さな自分史

   岩国市   会 員   片山清勝

 広場欄へ初投稿が載ったのは10年前の3月で、「孫新聞が70号に、これからも作り続けたい」という内容だった。喜び、読み返すうちに投稿を続けよう、と決意してからひと昔が過ぎる。
 日々の生活で感じたり見たり、経験したことを飾らずに投稿した。載るとメールや電話で感想が届く。町で声も掛けられる。そのたび、内容への責任や短い言葉遣いにも気を付けなければと思う。
 広場欄は、不特定の人が広い分野にわたって、自由な考えを披露できる。 
 
初掲載から3年が過ぎた頃、「広場欄は交流と情報と知の詰まった世界」とした私の投稿が載った。今もその思いは変わらない。
 楽しみながら書くと脳活になり、それが次の投稿につながる。
 掲載日の連絡はないから、紙面で見て初めて喜ぶ。これは投稿した者にしか分からない楽しみの一つだ。 
 掲載の切り抜きを繰ると、その時の出会いや情景を思い出し、平凡だが小さな自分史つづりに思える。

     (2017.03.09 中国新聞「広場」掲載)

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2017年3月 7日 (火)

魅せられて

    岩国市  会 員   森重 和枝

 行きたい旅の一つに、2月の伊豆めぐりがある。河津桜と菜の花の続く土手を歩きたい。毎年、思いながらまだ行っていない。 
 今年は娘が「まずは近くに行こう」と上関城山歴史公園のさくらまつりに誘ってくれた。空は快晴。海抜35㍍から眺める海は青く輝き、満開の桜の枝に飛び交うヒヨドリやメジロに思わずスマホを向けシャッターを切る。遊歩道は整備され、まだ若木が多く、桜を愛する地元の人の努力が推察される。会場はにぎわい、青い海とピンクの桜、黄水仙の景色にうっとり。
 河津桜を満喫した楽しい一日だった。
     (2017.03.07 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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