« 2007年10月 | トップページ | 2007年12月 »

2007年11月

2007年11月28日 (水)

「政治家の言葉」

       岩国市   会 員    沖 義照

 最近、大物政治家が前言を簡単に撤回することが多くなった。政治家といえば、あやつる言葉が大切なことは論を待たない。

 参院選で「小沢代表と私と、どちらを選びますか」と言ったにもかかわらず、選ばれなくてもやめなかった安倍前総理。大連立構想を否定されて「じゃあ辞任します」と、記者会見しながら続投を決め込んだ小沢民主党代表。今疑惑真っ只中の額賀財務相は、先の自民党総裁選の時、いったん出馬を決意するが腰砕けをしてしまった。

 額賀財務相の疑惑にかかるテレビ番組を見ていると面白いことを言っていた。彼は過去に2度も大臣を辞任している。今回辞任するようなことになれば、3度目だ。

 そんな彼は、先ほど出版されたレストラン格付け本「ミシュランガイド」に掲載されている料理店によく行っていたという。

 これをとらえて、「額賀財務省は三つ星の店に行くが、黒星こそ今回で3度目だ」「彼には何を言ってもダメだ。まさに『ヌカに釘だ』」と言って笑わせる。

 

 最近の政治家は、お笑い芸人以上に笑いのネタを提供してくれる。言葉は政治家の命、大切にして欲しい。自分が言ったことを2回も3回も撤回していると誤解を招き、8回いや厄介なことになりますぞ。

| | コメント (0)

2007年11月27日 (火)

「赤い手帳」

   岩国市  会 員   樽本 久美

 先日、来年用の新しい手帳を買った。あるわあるわ。何とたくさんの種類の手帳が……。さんざん迷ったあげく、今年と同じ形式の手帳を買った。

 今年の色は、私の大好きな赤だったので、来年は違う色にしようと悩んだ。迷ったあげく、初めての茶色に決めた。今まで使ったことのないシックな色だ。

 家に帰って、データを書き写していたら、やっぱり茶色の手帳がなんとなくしっくり来ない。やはり私に合う手帳は、元気の出る赤だな。早速、今年の表紙をそのまま使って中だけ新しいものに取り替えた。

 初めて2年間、同じ表紙の手帳を使うことになる。まさにエコ手帳だ。たかが手帳の色。されど毎日書き込む手帳。私にとっては、なくてはならないものだ。

 来年は、どんな年になるのか。この手帳のみぞ知る。新しい手帳に満足している私であった。

   (2007.11.27 朝日新聞「声」掲載)

| | コメント (0)

2007年11月19日 (月)

「ありがとう」

     岩国市  会 員  吉岡 賢一

 あと半年で100歳を迎える母。介護療養型医療施設のベッドで、完全介護の寝たきり生活になって2年近くになる。

 身体硬直、言語障害、認知症などと日を追ってひどくなり、意思の疎通もままならない。それでも食事介助に顔を出す私たちを見ると、一瞬仏の顔になる。

 わずかに動く左手を布団の中で震わせる。右手で食事を口に運びながら、左手で母の手を握りさする。柔らかい。そして温かい。

 石に布団は着せられぬ。ならば今、意志は通じ合わなくとも、ぬくもりのある母の手をいっぱい握りしめてやりたい。ありがとうの気持ちを込めて。
 
 (2007.11.19 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

| | コメント (0)

2007年11月16日 (金)

「2人だけの演奏会」

   岩国市  会 員   檜原 冨美枝

 人手不足の農家の秋は忙しい。取り入れ作業に追われ、猫の手も借りたいくらい。当然、平地のクリ拾いは子供の役で、どこの家でもやらされた。  

 私はこれが大の苦手。下手をすればイガが足に立つ。歩きにくい山肌で、うっかりすると蛇に出合う。あれこれ考えていると、クリの花が咲くころから苦になっていた。

 ある年、クリ拾いの途中、姉と図って2人だけの野外演奏会を開いた。歌う人も1人、聴く人も1人。山の紅葉をバックに、ちょうどいい切り株に立ち、自分の好きな歌を代わる代わる熱唱した。

 舞台衣装は絣(かすり)の着物。空は秋晴れ。きれいな空気を吸い、時折小鳥たちの伴奏も入って、野外ステージは時を忘れて盛り上がる。気がつけば太陽は西に傾いていた。  

 そんな子供たちの仕事ぶりはちゃんと見抜かれていた。大人たちは疲れた体で再度山に入り、拾い残しのクリを丹念に拾って歩き、その量は私たちの量をはるかに超えていた。

 昭和51年、歌の好きなもの同士が声をかけあい、この地に初めてママさんコーラスを立ち上げた。以来32年間務めさせてもらった代表を今年の4月に降りた。自分の能力に限界を感じたからだ。    

 でも、これからも命ある限り歌は続けたいと思う。あの2人だけの演奏会を思い出しながら。    
 (2007.11.16  毎日新聞「女の気持ち」掲載)

| | コメント (0)

「少年の試練」

   岩国市  会 員   沖 義照

 

 飼い犬の耳に炎症が起きたので行きつけの犬猫病院に連れて行った。いつもお客が多い。

 

 その中に、息の荒い老いたレトリバー犬がいた。おじいさんが小学2、3年くらいの男の子と一緒に連れて来ている。

 

 順番が来て診察室に入ったと思ったら、間もなく少年だけがうつむいて出てきた。「かわいそうで見とられん」とつぶやきながら椅子に座った。

 

 しばらくしておじいさんが犬を置いて出てきた。「今日、手術をするからのう」と少年の肩に手を置き、何かを言い聞かせながら病院を出て行く。

 前かがみになって歩く少年の肩が、小刻みに震えて見えた。
  (2007.11.16 毎日新聞「はがき随筆」掲載・佳作)

| | コメント (0)

「古本屋さんにエール」

   岩国市  会 員  樽本久美

 古本屋さんに行くのが楽しみになっている。3年前、気分が落ち込んでいた時、たまたま近所の古本屋さんに入ったのがきっかけだった。

 いろいろな本を見ていたら「ああ、この本読んだな。懐かしい」。何となく、昔に戻ったようでうれしかった。店員さんも感じのいい方で、いろいろとおしゃべりをしてしまった。心地よい空間を久しぶりに味わった。

 以来、時間があるときは足を運んでいる。今、活字離れが叫ばれている。インターネットで本も読める時代ではあるが、初めて本を開く瞬間は新書でも古書でもよいものである。

 忙しい時代だからこそ、時間を忘れて本に親しむことが必要なのではないだろうか。これからも、少しでも多くの本を読んでいきたい。 

 最近、古本屋さんが閉鎖していると聞く。本は日本の文化。古本屋さんがなくならないよう祈りたい。
  (2007.11.16 中国新聞「広場」掲載)

| | コメント (0)

2007年11月15日 (木)

「昔3S今5S」

    岩国市  会 員  吉岡 賢一

 子供のころから学校や家庭で整理・整頓を口やかましく言われてきた。成長してからは、企業で安全やゼロ災害、さらには効率の良い生産の基本行動として「整理・整頓・清掃」の3Sに取り組んだ。

 そしてこのごろでは「清潔・しつけ」の二つが加えられ5S運動と呼ばれる。最初の4Sは誰の目にも見え、いち早く対応できる。 問題は5番目のS。つまり「しつけ」は目に見えない。定義もあいまいでとらえにくい。しかし、人間として最も大切な心と行動の規範である。なおざりにすれば、5S運動そのものがおぼつかなくなる。

 最近の世の中を眺めても、私をはじめ日本国民全体が「しつけ」という古来の美意識を忘れてしまってはいないか。政治の舞台で繰り返される節操のない言動。利潤追求のみに走る有名企業や老舗の心ない行動。

 誰が誰をどのようにしつけるのか。大きな問題が隠されている気がする。5Sの原点を今一度思い起こして、夢のある国造りに生かせないだろうか。

  (2007.11.15  中国新聞「広場」掲載)

| | コメント (0)

2007年11月11日 (日)

「食品行政の見直し」

  岩国市  会 員  角 智之

 三重県伊勢市の「赤福」と「御福餅本家」は、ともに伊勢参りの土産を製造、販売する老舗の和菓子メーカーだ。赤福は30年にわたり、製造年月日などの偽装を繰り返し、御福餅本家も自社の27年前からの偽装を農林水産省などに自己申告した。

 日本農林規格(JAS)法では違反企業に対し、1億円以下の罰金が定められている。しかし、企業名の公表などで社会的制裁を科すことで抑止効果を期待し、今までに適用された例はないという。だが長い間、消費者を欺いて得た巨額の利益に対して、「おとがめなし」では世間の理解は得られまい。

 また、JAS法では「ミートホープ」のように業者間取引を取り締まる規定がないといった盲点も指摘されている。食の安全、安心が守られるよう法の適用範囲の拡大や罰則の強化など食品行政の在り方について早急に見直しが必要な時期に来ているのではないだろうか。

  (2007.11.11  中国新聞「広場」掲載)

| | コメント (0)

2007年11月 8日 (木)

「未病」

   岩国市  会 員  井上 麿人

 医者嫌いに薬嫌いは退職後も続いた。体調不良の時は黙秘と忍耐という漢方薬を用い、時には絶食療法も併用した。が、そんな時は決まって、妻は不機嫌になる。

 昨年の暮れ、不覚にも救急病院に担ぎ込まれた。落ち着いたころ、看護師をしている娘が未病について話してくれた。

 未病は「自覚症状はないが検査では異常がある状態」「自覚症状はあるが検査では異常がない状態」。要するに健康な人と、病気の人の間、半病人だという。

 放っておけば末病になると笑う。幸いたいしたこともなく退院したが、検査嫌いという後遺症が残った。

  (2007.11.08  毎日新聞「はがき随筆」掲載)

| | コメント (0)

2007年11月 6日 (火)

「ゴールのテープ」

    岩国市  会員  鈴川 汎子

 

 今日は長女の幼稚園の運動会。プログラム8番。かけっこ。スタート地点に私、ゴールにはカメラを構えた父さん。

 「ヨーイドン」に、人垣の外の私も走る。負けん気いっぱいの娘は先頭。テープの張られたゴール直前に急にスピードが落ちた。

 どうした? と思ったが、すぐにゴールイン。「写真はバッチリ撮ったぞ」と父さん。

写真が出来た。なんと長女はゴールのテープをチョキの指で切ろうとしている。「あのね、先生が1等でゴールしたらテープを切りなさいと言ったの」。 

あれから30年。長女はアメりか在住。父さんと縁側で古いアルバムを開いた。    

  (2007.11.06 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

| | コメント (0)

« 2007年10月 | トップページ | 2007年12月 »