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2008年4月 1日 (火)

「36年前の今日」

   岩国市  会 員   安西 詩代

 出産予定日は、14日後だった。4月1日の朝、夫が「今日はエイプリルフールだね」と言う。私は「きょう生まれると言っても信じないよね」と冗談を投げ返した。

 夫が会社に出かけた。掃除して、洗濯物を干し終わると、おなかが張ってきた。初産だけど、本能的に病院へ行こうと思った。

 夫に電話で「生まれそうなので病院へ行きます」と伝える。「その手にはのらないよ」。「違うのよ! 本当なのよ!」

 結局、1人で用意していた荷物を持って病院へ行った。やはり、夫は一向に来てくれない。朝の会話を後悔した。

 私では信じてくれないので、同じ社宅の友人から電話をかけてもらったら、びっくりして飛んできた。それから無事女の子が生まれ、エープリルフールの1日は終わった。36年前の思い出だ。

 最近、若い頃のこと、古い思い出などを書き留め始めた。すると、忘れていた細部が次々に思い出される。そう言えば、4月1日とはいえウソを気になれないのは、これがきっかけだったのだろうか。

 偶然にも、近くの施設にいる義母も4月1日に94歳になる。大正初期にも同じような誕生日秘話があっただろうか、確かめてみたい。きょうは、2人の誕生会をしてあげましょう。
   (2008.04.01 朝日新聞「ひととき」掲載)

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