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2008年8月28日 (木)

「心は60歳」

    岩国市  会 員   安西 詩代

 グループホームにいる94歳の義母の介護認定更新があった。ケアマネジャーのあいさつに、母は「あなた、美人ね」と答えた。要介護は手心が加えられるのか?

 
 日常行動は、すべて介護が必要だ。だが「もちろん、全部一人でしています!」と質問に不満顔。

 足も手も思い切り高く上げ、足取りも軽やかに歩いてみせる。背筋もしゃんと伸びている。「お幾つですか?」「そうね、60歳かしら」。

 いつもと違い、はきはきと自信に満ちた会話に驚く。長い人生の中で、息子が結婚したころが一番充実して、幸せだったのだろう。母の心は、60歳に戻っていた。

   (2008.08.28 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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