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2008年9月17日 (水)

「私の誕生日に生れた初孫」

      岩国市  会 員   井上 麿人

 「今日生れそうだ」長男からの電話で妻と産院へかけつけた。双子とわかっていた。曲がりなりにも3人の子供のオムツを取り替えた父親経験者。たかが初孫が双子いうぐらいでマゴマゴしていたのでは洒落にもならない。冷静さを装うことにした。

 産院は明るく、清潔。だが風呂のふたを取ったときのような生暖かい雰囲気は昔と変らない。苦手だ。

 長い廊下をすすむとガラス張りの新生児室がみえ、前に人垣ができていた。 真ん中に先生と息子の顔が見える。「事故か」。緊張が走る。 近づいてみるとすぐに原因はわかった。ベビーたちは男女のカップルだった。

 神妙に先生の話を聞きながらメモを取っている息子。少子化が問題となっている昨今、効率のいいことだと一人満足した。そしてせがれがおやじに、おやじがじじいになった瞬間でもあった。

 
1時間ほどで産院を出ようとしたとき、息子が小さな箱を抱え追ってくる。中身の察しはついたが妻への連絡程度に思っていたら、「一応おめでとう!」声を掛けられ、今日が自分の誕生日だと気づいた。

 元号を昭和に置き換えれ“年”月日全てが同じというおまけがついた。だから以来、孫たちの誕生日と星座、そして年齢も間違えることはない。
   (2008.09.17 朝日新聞「声」掲載)

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