「錦帯橋洪水対策」
岩国市 会 員 角 智之
10万人を越える賛同署名を提出して世界遺産暫定リスト入りを目指した「錦帯橋と岩国町割」は、一定の評価を受けながらも今回は見送られた。
錦川に架かる錦帯橋は、栃木県日光市の「神橋」、山梨県大月市の「猿橋」とともに日本3橋の一つである。築城技術を駆使し、木組みの技法を最大限活用して創建された。美しい5連のアーチ橋は世界にも例がなく、三百三十余年にわたり、人々の生活にかかわってきた。
さらに2004年3月に完成した架け替え工事の技法は、平成の匠たちに伝承され、文化庁や国連教育科学文化機関(ユネスコ)へアピールできることも意義深い。
だが、架け替えからわずか1年半で橋脚の一部が流失した現実に、多くの市民は衝撃を受けた。地球温暖化に起因か、今夏もゲリラ豪雨が列島を駆け抜け、愛知県岡崎市では、観測史上最高の1時間に146ミリという想像を絶する豪雨に見舞われた。
支流の多い錦川流域で、このような事態になれば、短時間での増水は避けられない。先人たちが残した貴重な伝統技法を世界遺産に登録し、末永く後世に伝承するためには、100年に1度の大洪水に遭遇しても安心して眺めていられるよう、抜本的な洪水対策が必要ではないだろうか。
(2008.10.08 中国新聞「広場」掲載)
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