「いざよい」
岩国市 会 員 沖 義照
「9月26日夜9時、同時に月を見よう」。布団に腹ばいになって書いた手紙の最後に、こう付け加えて投函した。
東京の大学に行ったM子にあてて出したものである。春夏冬と、長い休みには必ず帰省してきた。喫茶店に入りコーヒー1杯で何時間でも話ができる友人であった。
2年の夏休みが終わり、M子は東京に帰って行った。寂しさを紛らせるために手紙を書いた。
喫茶店にいる時のように、同じ時間を共有したいと考えて思いついたのが、十六夜の月を見ることだった。私の気持ちがいざよっていた時だったように今思い出している。
(2008.10.07 毎日新聞「はがき随筆」掲載)
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コメント
「いざよい」良い言葉ですね。
日本語には、本当に趣のある言葉が多いですね。大切にしなくては。
投稿: anne | 2008年10月 8日 (水) 07時39分