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2010年2月

2010年2月28日 (日)

「出前講座 弁当楽しみ」

       岩国市  会 員   片山 清勝

 所属しているパソコンの会は、パソコンの普及と利用促進を図ることを目的にしたボランティア団体だ。活動は、機材を会員の車に載せ、合併で広域化した岩国市内各地へ出前講座に出かける。
 会員は大方が年金生活者。パソコン経験もスキルも異なる。こんなメンバーが協力し合う。講座は手作りのテキストを使い、分かりやすく教えることに苦心している。
 講座では受講者との会話も楽しいが、もうひとつ楽しみがある。それはお昼の弁当。初めは手弁当で出かけていたが、いつごろからか、開催地域の温かい弁当を食べるようになった。
 献立、作り方、味付け、容器などみんな違う。共通点は食材が地元産でヘルシー。何より手ごろな値段がありがたい。
 同じ弁当を食べながらの会話も盛り上がる。会員になる前の職業はさまざま。そこでの体験などを聞くと、知らない世間が多くあることを教えられる。
 こうした形で元気に楽しみながら食べることを、定年前には考えもしなかった。さて、次はどこの弁当だろう。 
    (2010.02.28 中国新聞「広場」掲載)

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2010年2月26日 (金)

「七福神」

    岩国市  会 員   金森 靖子

 
先日、ラジオで長野に住む一主婦からの手紙を読んでいた。

小学3年生の子が、宿題で出た「七福神とは何か」を辞書のハ行で探し始めた。そこへ父親が来てサ行だよと言う。新潟から嫁いだという母親は「ひちふくじん」か「しちふくじん」か悩む、というものだった。この話をある勉強会で聞いてみると「しちふくじん」が正しいと分かった。

私はハ行に間違いないと思っていたので恥ずかしかった。他にもこんな間違いがあるのではないか。これを機に事あるごとに辞書を開いている。七福神は、私に勉強せよと教えてくれた。 
   
2010.02.26 毎日新聞 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

    

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「色 紙」

   岩国市  会 員   樽本 久美

 「Sさんが亡くなられた」と電話があった。83歳だった。一緒に書道展に行ったり、私が入選したときにはお祝いをしてくださったりした。年齢差はあったが、いつも何事も前向きで取り組んでいて、私の目標の人だった。家で書いていて、そのまま亡くなられた。

 これまでのお手本と自分の作品すべてに、日付を書いて保存してあり、Sさんの書に対する思いを知った。娘さんに最後の書も見せてもらった。仮名と調和体の半紙をそのままにすることができず、表具屋で立派な色紙にしてもらった。明日、東京に帰る嬢さんにいいお土産ができた。
  
2010.02.26 毎日新聞 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2010年2月24日 (水)

「2」並びの日

     岩国市  会 員   山下 治子

 平成22年2月22日。アヒルが5羽の2並びだ。この数列どこかで見覚えがある。そう、中学時代の息子の通知表だ。

 勉強よりスポーツに意欲的だった彼は、部活が原因で不登校を始めたが、なぜか雪の降る日と試験日だけは登校した。父親の怒りや祖父母の憂いに、彼のいらだちの矛先は弟と私に向き、出口の見えない日々が続いた。評価しようもないはずの通知表が届いた。2並びのなかで明らかに間違いであろう「5」が数学に付いている。担任に尋ねると「正真正銘彼の成績です」。とにこやかに言われた。

 あれから十余年、彼は今結婚資金の蓄えに忙しい。
  
2010.02.24 毎日新聞「はがき随筆」掲載」)

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2010年2月23日 (火)

「私の運動器具」

    岩国市  会 員    治子

私の顔を見ると医者は「歩いているかね。あんたには賢い運動器具が付いているのだから頑張りよ」と言う。

 確かに朝夕、犬の散歩を兼ねて毎日1万歩以上歩いている。20キロを超える犬に引っ張られての歩きは、かなりきつい。機械のように調整がきけばいいのだがそれもままならず、私のほうが次第に合わす。お陰で筋力も付いてきた。少々のことでは転ばないようになった。これはやはり感謝すべきことと思う。

 手におやつを持ち、お座りをさせる。「ありがとうね」と言わないうちに飛びついて食べてしまった。しつけは、まだまだ今いちのようだ。
 
  (2010.02.23 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2010年2月20日 (土)

「幼い日のときめき」

    岩国市  会 員   中村 美奈恵

 
幼いころ、夜中に目が覚めるとミシンの音がした。家計を助けるために母が縫い物をしていたのだ。毎年2月になると、友達の家にはひな人形が飾られた。一度だけお道具に触らせてもらったことがる。その時のときめきを母には言えなかった。

いつか娘が生まれたら……。息子ばかりでは思いもかなわなかった。そんな私の元に京都から人形が届いた。引っ越しで手狭になった方から譲ってもらったのだ。赤い毛氈に一体一体飾り付ける。初めて手にする十二のおひな様。

あこがれの七段飾りに、幼い日のときめきがよみがえった。
  
 (2010.02.20 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2010年2月19日 (金)

「ころんでも」

    岩国市  会 員   吉岡 賢一

 「じいちゃん、がんばって!」。会場に響く孫の黄色い声援もむなしく予選落ち。本放送のテレビには映らなかったNHKのど自慢。「なんで出られんかったんじゃ?」と尋ねる彼らに「なんでじゃろねー」とあいまいな返事をする。明確な選考基準が見えないので、あいまいにしか答えようがない。
 「じいちゃん、かっこよかったじゃろ」と聞くと「ようわからん」と正直だ。「次にあったらまた挑戦するよ
」「おれのスキーと同じじゃね」と話は弾む。
 テレビ画面の雄姿は見せてやれなかったが、挑戦することの大切さを感じてくれたらそれでいい。  
  (2010.02.19 毎日新聞「はがき随筆」掲載)  

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2010年2月18日 (木)

「手製こんにゃく格別」

       岩国市  会 員  横山 恵子

 岩国市錦町大原に住んでいるおば夫婦が米や白菜、コンニャクイモなどを持ってきてくれた。早速、母が白菜漬けと刺身こんにゃくを作った。
 
無農薬の安心安全の白菜は甘いし、手作りこんにゃくは一味違う。以前、近所の人に「こんにゃくが、こんなにおいしい物と初めて知った」と言われたとか。母は、うれしそうに話していた。
 
サトイモを何倍も大きくしたようなコンニャクイモについて調べてみた。
 「年平均13度ほどの気温が必要。一人前になるには3年かかる。収穫後の温度管理も必要」
 
こんなにも手間暇かかるなんて…。何十年も、わが家に届けてくれているおば夫婦に、あらためて感謝した。
 こんにゃくは「体の砂払い」と言われ、カルシウムや食物繊維を多く含み、大腸がんの発生を抑制したり、コレステロールを減少させたりする効果もあると書いてあった。まさに現代人の生活習慣病予防にピッタリの食材なんだと思った。
 
私も母に習って作ってみようと思う。
  (2010.02.17 中国新聞「広場」掲載)

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2010年2月16日 (火)

「模範運転心掛けたい」

     岩国市  会 員   貝 良枝

 国道への交差点で、前の車に続いてアクセルを踏めばギリギリ国道に出られたかもしれなかったが、信号は黄から赤に変わったのでやめた。

「もう一回待ちか」とつぶやいてバックミラーを見ると、後ろのドライバーが「行けばいいのに…」と言わんばかりに、ぶぜんとしていた。

 隣の車線には、自動車教習所の車が止まった。教習車のドライバーは男子学生のようだった。

「微力でも手本になれた。やっぱり止まってよかった」と思った。

 最近、黄から赤に変わると分かっているのに加速し、止まらない車が増えたと感じている。

既に赤に変わっているのに走り抜ける車もいる。それが常となってしまえば事故が多発するだろう。急いでも大して早く目的地に着きはしない。先を走る者から手本になる運転をしたいものだ。

 教習を受ける真剣な顔の学生に「無謀運転しないでよ」と心で問いかけ、脇に目をやると、

「ちょっと待て わき見一秒 苦は一生」という交通安全標語の看板が立ててあった。

 思わず、前を向いてハンドルを握り直した。

2010.02.16  中国新聞「広場」掲載)

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2010年2月 6日 (土)

「仏の顔も」

岩国市  会 員   沖 義照 

 「早く起きてー、今日は資源ごみの日よー」。妻の叫ぶ声で目が覚めた。朝の散歩に出かけたところ、ある街角に資源ごみが出ているのを見て、あわてて戻ってきたという。急いで着替え束ねておいた重い新聞紙を両手に提げて持ち出した。

 集積所に行ってみると、いつもと違って何も出ていない。「今日は資源ごみの日ではないのでは?」と思いながらも置いて帰った。妻にそれを伝えると、ごみカレンダーをチェックした。やはり前の週がその日であった。捨てたものを引き取りに行く。

 しかし、こんなことで私は怒らない。まだ3度目の出来事だから。
  (2010.02.06 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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