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2010年7月

2010年7月27日 (火)

「食べない決意」

      岩国市  会 員   山本 一

私は医師から食事制限をされているが、なかなか実行できない。問題は私と妻の双方にある。妻は私がたくさん食べるのを喜ぶ性癖があり、元々作る量も多い。結婚する前から妻の差し入れをがつがつ食べた。

 今も「あの食べっぷりで結婚したわ」と言うほどだ。あれから41年。家族は夫婦だけになった。胃を切った妻は極端に小食である。にもかかわらず、妻は2人には多すぎる量を作り、私はあうんの呼吸で残さずに食べる。

 どげんかせんと。毎日の晩酌は絶対に減らしたくない。妻には悪いが食べるの減らそう。
   (2010.07.27 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2010年7月23日 (金)

「あふれそう」

     岩国市  会 員   片山 清勝

「今夜は焼き肉。柔らかくておいしかったよ」。妻の持つ受話器から京都に住む孫娘の声が聞こえてきた。孫は肉が大好物。妻は何種類かの肉を定期的に送る。食べた感想は孫が必ず電話してくれる。その心遣いがうれしい。

電話の様子から息子一家の楽しい食卓風景も見えるようで、心休まるのは「親ばか」だろうか。ご飯が大好きな孫は、おかわりをしたという。「たくさん食べたのでパワーがあふれそう」。満足感が十分伝わる。「すき焼きは次の日曜でーす」と言う。うれしそうな声で電話が終わる。次はどんな肉にしようか。妻の算段が始まる。
      
2010.07.23 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2010年7月21日 (水)

棚田を守る労苦を学ぶ

     岩国市  会 員    片山 清勝

 棚田の大敵は「モグラ」と聞いていた。モグラは地中にトンネルを掘り、ミミズや昆虫の幼虫などを食べる。このトンネルは、棚田の水抜けの原因となり、被害は稲作の命取りという。

 訪ねた農家で棚田を見下ろしながら、モグラのことを聞いた。「これがモグラ捕獲機」と納屋からブリキで作った円すい状の2本の筒を持ち出された。

 使い方は、細い方を向かい合わせモグラの通り道に埋める。この人工トンネルに入ったモグラは先細りで進めなくなる。入る側には逆支弁があり、1度入ったら絶対に後ろへはさがれない作りにしてある。

 毎日欠かせない田の水の見回り時に、モグラトンネルで隆起した場所を見つけ、そこへ仕掛ける。「仕掛ける向きと深さは経験」と見えないモグラとの攻防を教わった。

 狭い棚田でする作業のいろいろを聞きながら、伝来の棚田を守るには、ひとときの油断も許されないことを実感した。

 これまで棚田の美しさをただ称賛していたが、その裏にある労苦を少し知り、目の前の苗の緑が濃く見え始めた。

    (2010.07.21 中国新聞「広場」掲載)

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2010年7月 9日 (金)

「病院の母子」

    岩国市  会 員   金森 靖子

 病院の待合室で3人の子供を連れた母親と隣り合って順番を待っていた。赤ちゃんと3歳位の弟の面倒を見ているのは、小学1年くらいの女の子。子供たちは母親にいろんな話をしているが、大声は出さない。

突然、女の子は「えみちゃんがまだお母さんのおなかにいる時、ゼリーみたいなのおなかに塗って検査したでしょ。あの時、お母さん、気持ち良さそうだったなぁ」とうっとりした顔でつぶやいた。

なんと可愛い顔だろうと私は見ていた。やがて母子は「エコー室」に入った。子供たちは今、何を感じているのだろう。
  
2010.07.09 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

 

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