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2010年12月29日 (水)

「来年はいい年かも」

       岩国市  会 員   貝 良枝

 
朝9時、ゴミ出しをしていないことに気づく。徒歩1分のゴミ集積所だけど、ゴミ袋を車に積み込む。もうこの時間では、収集車が来た後かもしれない。そうなるとゴミ袋を持ち帰らなくてはいけない。それを見られるのはカッコ悪いから車で運ぶ。
 
「エコじゃないよなぁ」と独り言を言いながら集積所に行くと、まだ収集車は来ていなかった。安心したら、ラジオからギターの音色とほんわかした歌声で「トイレには、それはそれは、べっぴんさんの……」と歌っている。ひょっとしてこれは「トイレの神様」?
 
車を止めて聴き入った。目の前の田舎の風景に溶け込むような穏やかな歌だった。前から気になっていた歌で、聴いてみたいと思っていたからちょっとうれしかった。
 空は晴れ。ゴミ出しは間に合った。気になっていた歌も聴けた。今日はいい日かも。
 
それから1カ月後、ボランティアの集会があった。その集会で「この歌を聴いてください」と「トイレの神様」がかかった。
 
「おばあちゃん、ありがとう ホンマにありがとう」まで聴いたら涙があふれてきた。ふと見ると、周りの人も涙している。みんな同じ気持ちだったんだ。優しい歌にまた出合えた。優しい人たちと同じ場所にいられた。今日はいい日だ。
 
大晦日の紅白歌合戦でこの歌がまた最後まで聴けるらしい。来年はいい年かも。
  (2010.12.29
  毎日新聞「女の気持ち」掲載)

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