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2012年4月

2012年4月27日 (金)

「一目惚れ」

   岩国市  会 員   山下 治子

 用事を済ませ、ついでにウインドーショッピング。足がピタッと止まった。他の商品が全く目に入らない。試着してみる……。似合う! 欲しい! 値段は? やっぱりネエ! 

 大いに迷った揚げ句、一晩たてば気が変わるかも、と高ぶる気持ちを抱えたまま帰った。翌朝は雨と風。出かけるなということか、とあきらめかけたら晴れてきた。ということは、買いに行けということだ。決まった!
 銀行に寄り、店長直々に値切り交渉したが、断固引かない。引けないのだ、と言う。それを聞いて、更にこの品に惚れた。大事にする。
 
  (2012.04.27 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2012年4月25日 (水)

おしゃれな食材づくり広がる

   岩国市   会 員   片山 清勝

 健康づくりを兼ねて自家用菜園を楽しむ人が多い。定年後に借地して野菜づくりを趣味で始めた知人もいる。近所のホームセンターには緑濃い多種類の苗が並び、トマトなども数種類ある。プランターは斬新な色や形で種類も多い。これらを買う人たちの年齢は意外に幅広い。

 その光景に終戦後の思い出が脳裏をよぎる。郵便局職員だった父は毎夕、母と連れだって畑仕事に出かけた。食糧難の時代、サツマイモやジャガイモ、大根、自菜、豆類などをたくさん栽培し、5人の子どもの空腹を満たした。私たちもよく手伝い、何でも食べたものだった。

 「地産地消」が言われる昨今、家庭やプランターの菜園は安心安全、そしてちょっとおしゃれな食材作りの場が広がっている。大小の差こそあれ、今後は「自作自消」の方向に進むのだろうか。

 
そんな思いを抱きながらピーマンとミニトマトの苗を購入し、早速植えた。種苗コーナーを訪れる人が途切れることはない。

  (2012.04.25 朝日新聞「声」掲載)

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2012年4月20日 (金)

「前払い」

       岩国市  会 員   安西 詩代

 

 明治生まれの母は、最期は認知症で私が週3回訪ねる度に「こんなによくしてもらうのに私はお金を持っていないので、あなたにお給金を払うことができないのよ。ごめんなさいね」と申し訳なさそうに謝る。「大丈夫ですよ! 前払いでたくさん頂いていますで、ご心配なく」「そうですか。それならよいのですが」という会話をしていた。

 いつからか「娘」から「よくしてくれるお手伝いさん」に変わった私は、母がいとおしかった。7人の末っ子で両親や兄姉からは愛情の前払いもたくさんもらっていた。そのお返しを少しでもできたのだろうか……。

  (2012.04.20 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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カタクリの里に感動

   岩国市  会 員  片山 清勝

 誘ってくれた知人の車に同乗し、島根県吉賀町にある「カタクリの里」を初めて訪ねた。手入れされた山の斜面いっぱいに、背丈は低いが淡い赤紫色の愛らしい花が群生している。

 「3月下旬から4月上旬に開花し、5月には地上から姿を消す」という案内があった。

 春だけという短い生涯を精いっばい生き、咲いている。小さな花に潜む、そんな強い気構えに感動した。

 カタクリは、近年の急速な自然破壊や盗掘で、めっきり減っているという。そうした中、吉賀町の大群生地は、西日本で貴重な存在になっている。

 住民の手入れによって保たれていることを知り、頭の下がる思いだ。花がそれに応えているように思えた。

 周辺の稲田では田植えの準備が始まり、そこの水面にこいのぼりも映っている。よい風景は、そこに住んでいる皆さんの地域ヘの思いやりから生まれる。撮った写真を整理しながらそんなことを思っている。

 (2012.04.20 中国新聞「広場」掲載)

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2012年4月 3日 (火)

「病んで学ぶ」

      岩国市  会 員   片山 清勝

 2回目の車検。部品の取り換えが必要という。昨秋の手術の経験からすぐにOKをだす。
 数年前、家庭医から便潜血の定期検査を勧められた。苦痛を伴うでもなし、深刻に考えることもなく始めた。昨夏、自覚症状は全くないのに潜血ありの判定に驚く。再検査するも同じ。
 医師の指示通り内視鏡検査。大腸がんが見つかり、すぐに切除手術を受けた。病床で健康診断や検査の重要性を改めて思い知った。
 安心安全の仕組みは人も車も同じだ。プロの厳しい診断、その受け入れが快適な日々に連なる。入院してしっかり学んだ。 
  (2012.04.03 毎日新聞「はがき随筆」掲載) 

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