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2013年5月

2013年5月31日 (金)

「五月病?」

     岩国市  会 員   吉岡 賢一

 この春、年少さんに入園した娘の三男坊。午後4時に幼稚園バスでジジの家に帰ってくる。おむすび2個にバナナに牛乳、お菓子にまで手を伸ばす。その旺盛な食欲は、あふれる馬力と好奇心に変わり、ジジも遅れをとるほどの勢いがある。
 
 5月も半ばを迎える頃、その食欲が落ち始めた。喜々として話してくれていた幼稚園の様子も、言葉少なになってきた。案の定高熱を出し、急きょ病院へ。2日間の点滴でことなきを得た。 
 
 環境が変わって1力月余、幼心にのしかかるプレッシャー。俗に言う五月病かも。えっ! 単なる食べ過ぎ? そうなの?
 
   (2013.05.31 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2013年5月30日 (木)

「ほのぼのと」

     岩国市  会 員   横山 恵子

 

嫁から「母の日にKが幼稚園で描いた似顔をくれました。うれしいものですね」という喜びのメール。「宝物が増えたね」と返信した。
 めい夫婦の2歳になる一人息子は、母の日にパパと一緒に買い物をした。気に入ったのは、ミニバラに似た、まだつぼみの花。ママに渡す時、パパが「お花、まだ寝てるのかな?」と言うと、息子は両手を口にあて「みんなー起きてー」と声を張り上げたという。
 遠く去った子育てを懐かしく思い出したわ。成長を見守れたことは幸せなこと、と今ごろになって思うのよ。
   
2013.05.30 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2013年5月29日 (水)

けが防止怠らず剪定

   岩国市  会 員   片山清勝

 今月中旬の広場欄。入院中のリハビリヘの感謝の気持ちが掲載されていた。投稿者は元上司だった。問い合わせると、庭木の剪定中にけがをされたそうだ。
 私は毎年、梅雨入りまでに庭木の枝切りを済ませる。四十数年続け、年数は長いが、満足する枝ぶりはあまり経験していない。
 還暦を過ぎてからは、仕上がりよりもけがをしないことに意を注いでいる。今年は元上司のこともあり、例年以上に気を使った。
 特に、脚立の転倒防止には気を使い、脚立を移動するたびにしっかり固定を確認する。また、不安定な姿勢にならないよう気を配り、枝切りをした。
 しかし、アクシデントは起きるものだ。突然、大きなハチが顔の前に現れた。とっさに、かぶっていた麦わら帽子を手にして追い払つていた。
 2㍍ほどの脚立の上のこと、転倒しなかったことにほっとした。あのハチが、安全への心構えの大切さを再認識させてくれた、剪定ばさみを持ち直しながらそう思った。 

   (2013.05.29 中国新聞「広場」掲載)

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2013年5月28日 (火)

「銀婚式」

 
  岩国市  会 員   樽本 久美

 私たち夫婦は今春、銀婚式を迎えました。それを祝って「おめでとうございます」と書かれた絵手紙が届きました。 

 差出人は岩国市内に住む41歳の女性で、私が中学生の塾の講師をしていた頃の教え子です。当時、中学校の国語教師だった夫も彼女を教えていたという縁もあって毎年、年賀状を交換する付き合いを続けています。

 彼女は高校受験で苦労していましたが、今では立派な主婦になり、手紙の文面でも成長が感じられます。絵手紙には銀婚式にちなんだ銀のスプーンが上手に描かれ、感心しました。

 そんな彼女に刺激を受け、私もしばらく休んでいた書道の活動を再開しました。全国規模の書道展入選を目標に新たな意欲を燃やしています。
  (2013.05.28 読売新聞「気流」掲載)

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2013年5月25日 (土)

「ツバメ騒動」

         岩国市  会 員   中村 美奈恵

 

洗濯物を干していると、玄関先で夫が呼ぶ。

「ツバメが巣を作ろうと狙っているぞ」 

やれやれ今年もかと思いながらリビングに入ると、開けっ放しの窓からツバメが2羽入っていた。 

キャー。 

慌てる私をおいて「もう時間ないから」と夫が仕事に行った。一人でどうすりゃあいいの。モップを振り回すが効果なし。私だって、もう時間がないよ~。  

8時を過ぎてもまだ出て行ってくれない。それどころか、手の届かない所に止まったままだ。仕事に行く時間が迫る。このままおいて行くわけにもいかない。仕方なく「すみません。ツバメを追い出し次第行きます」と職場に連絡した。 

あっ、1羽下りてきた。出口はあっち。台所には行かないで~。逃げ惑うツバメ。当てないように振り回すと、何とか出て行ってくれた。残りI羽。 

椅子に上がり背伸びすると、モップが届いた。左右に振る。お願い、下りてきて~。ぐるぐる回るツバメ。出て行ってくれなきゃあ仕事に行けない。わぁ、壁に当たって落ちた。どうしよう。再びバタバダ。こっちに来るな。あっち、あっち。必死で追うと、ようやく出口を分かってくれた。 

急いで窓を閉める。まだ、床や壁に落としたフンを拭かなくちゃあいけない。 

格闘すること約1時間。今日1日のエネルギーの大半を使い果たし疲れた。おまけに30分の遅刻。
  (2013.05.25 毎日新聞「女の気持ち」掲載)

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2013年5月22日 (水)

「聞違い電話の主は」

       岩国市 会 員   山下 治子

 

去年の春先だったか、「ミホかぁ、野菜取りに来んね」と私の携帯電話にかかり始めた。「番号違いですよ」といくら言っても、「何ね?」と繰り返すばかりで、またかかる。
 一人暮らしの高齢者とうかがえたので、初めはむげに切れなかったが、病院で取り込み中にかかった時、「違うって何度言えぱわかるの?」と声を荒らげて切ってしまった。それでもかかり続けるので、私の□調は素っ気なくなり、そのうちかからなくなり、その存在を忘れていった。
 この春、近所の一人暮らしのお年寄りが亡くなった。人づてに「密葬でお別れもできなかった」と聞いた時、ふと「電話迷子」のあの方を思い出した。着信番号を登録してあったので雷話してみると、現在使われていないという空しい録音の声が繰り返し流れた。
 胸騒ぎがした。心の奥に鉛をのみ込んだ気持ちだった。呼ぴかけていた方と一緒に引っ越したと思いたかった。
 会ったわけではないのに、耳の奥に残っていたゆったりと穏やかな口調が、あの方のイメージを膨らませていた。「ごめんなさい」とつぶやきながら、携帯電話の登録を消した。
 (2013.05.21 朝日新聞「ひととき」掲載)

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2013年5月21日 (火)

「大切な一枚」

 岩国市  会 員   片山 清勝

 

スーパーに園児の描いた「お母さん」の絵がずらりと並ぶ。今年は美白系より日焼けした元気系の顔が多い。その顔はみんな違っているが、「お母さん大好き」の気持ちが生き生きと描かれていて、みんなすてきだ。

子どもの頃、母を描いた記憶はない。もし描いていたら、家事、その合間に手ぬぐいをかぶって畑仕事をする姿だったのではないか。今ならどうだろう。展示作品を見ながら考える。

孫と私ら夫婦の3人一緒の似顔絵がある。離れて住む孫が、志望中学入学の記念にと思いを込めた一枚。見るたび心安らぐのは似顔絵の温かさだろうか。
   (2013.05.21 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2013年5月20日 (月)

「もう一つのごちそう」

        岩国市  会 員   山下 治子

 

息子の友人が飛び入りしてにぎやかになった食卓。といっても、特別なごちそうはなく、あり合わせの材料で作ったまかない料理を共にした。

「愛想なしでごめんなさいね」と言うと、彼は「山下君ちはいいね。お母さんがご飯作ってくれて、家族で食べられて」と箸を止めて言った。

そんなの当たり前じゃないのと思ったが、聞けば、彼の家族は全員が働いていて、勤務時間もまちまち。彼自身も本業を終えてからコンビニで3時間ほどアルバイトしているのだそうで、家族そろっての食事など数えるほどもないという。だから夕食の支度は、その日一番早く帰れる者が準備するのだとか。

どんなものを作るのか聞くと、レトルト食品の利用が大半で、カレーが3日続くことも。できあいの総菜やお弁当が主となり、ジャンクフードで間に合わせてしまう時もあるらしい。

世間話としては聞いていたが、食生活のゆがみはここまで進み、しかも身近になっていたのか。
 不平を吐きながち、40年近く家族の食事を但ってきた私は、彼の話を聞いて、自分の居場所が台所であることに、自己満足と誇りと、言いようのない幸せ感を覚えた。

帰り際「いつでもどうぞ」と見送ると、彼はおなかをたたいて会釈してくれた。

空になった食器を洗いながら、つい鼻歌が出るのであった。
   
 (2013.05.20 毎日新聞「女の気持ち」掲載)

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2013年5月17日 (金)

「退職し心に余裕 庭の草花楽しむ」

   岩国市  会 員   横山 恵子

我が家の庭の一角に今年もエビネランの花がひっそりと咲いた。ツツジの陰で見かけた白とピンクの小さな花弁に心が癒やされた。
 
 振り返れば、山口県下関市に住んでいた34年前、小学校の教員だった夫が教え子の母親から鉢植えのエビネランをもらった。20年前に現在の家に移ってから庭に植え替えた。水やり以外に特別の手入れをしたわけではないが、最初の2株から少しずつ増え、20株ほどになった。
 
 老人施設に勤めていた頃は時間に追われていたが、4年前に退職し、庭の草花を楽しむ心の余裕ができた。エビネランの花を見ると、けなげな感じがして思わず「よく頑張ったね」と声をかけてしまう。これからも大切に育てていきたい。
 
 (2013.05.02 読売新聞「気流」掲載)

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2013年5月 5日 (日)

「ウチの孫」

      岩国市  会 員   山下 治子

 
2年生になった孫がやって来た。せっかくのGW、一緒にいっぱい遊びたいのに、宿題しなくちゃと言う。見ていると、どうも引き算に手を焼いている。大昔、私も数字に追いかけられた夢を見てうなされたことがある。どうやら孫は私似のようだ。
 卓上のバナナで「これをパパが3本食べて、ボクが5本食べたら……」。助っ人のつもりだったのに、孫は口をへの宇に、まゆは八の宇にしてポロポロ泣き出した。「ボク、そんなに食べられないよ。おなかこわしたら、ママ泣くもん」。あ~そうよね……。この孫、私にちっとも似てないわ。

  (2013.05.05 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2013年5月 3日 (金)

「頼みの綱も怪しい」

     岩国市  会 員   山本 一

  
「車のおはらいに行ったかしら。家計簿にも記録がないの」と妻が聞く。「当然すぐ行ったよ。買い替えたら、いつもそうするからね」と即答。が、言われてみると確かに記憶がない。車を買った7ヵ月前にさかのぼり、2人の日記帳を調べても記録がない。車内には某神社のお札があった。「やはり行ったのだろうか」「古い車のものなのだろうか」。ますます頭が混乱する。「2人の記憶がないし、記録もないのだから、行っていない」と結論付ける。

それにしても、頼みの綱の妻までが怪しい記憶力だ。老い先を思うと、急に背筋が寒い。

 (2013.05.03 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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