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2013年10月

2013年10月31日 (木)

「輝く米」

     岩国市 会 員   稲本 康代

 

いとこから秋の贈り物が届いた。添え書きに「この新米は、今年の暑さに負けないで、雨や風に揺れながら、カエルの合唱を子守歌にして庄原でとれたんよ。召し上がれ」と。早速、夕飯に炊きあげると素晴らしい!
 米粒一つ一つが、つやつやピカピカと輝いている。ついつい食べ過ぎてしまった。 
 昔から、米を作るには八十八もの手間がかかる、といわれている。機械化が進んでいる今でも、30以上の手がかかるそうだ。毎日、何気なく食べているご飯。我が家に来るまでの苦労と汗を思い、一粒一粒がありかたく、いとしく感じられた。

2013.10.31 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2013年10月29日 (火)

「今日は栗ご飯」

        岩国市  会 員   安西 詩代

 

30キロ超の大物がかかったよ」。毎日田畑を荒らし、夜な夜な栗を食べに来ているイノシシ。平地にわなをかけても手前で引き返してしまうそうだ。「じゃあどこに」「イノシシの通り道の急斜面にかけるんよ。アッと気が付いても自分の体重で止まれず、わなに突進してしまうからね」
 
 人間とイノシシの知恵比べを聞きながら、亥年の私も「坂道で引き返せないことがある。危ない! 危ない!」。それから数日たっても、他のイノシシも出てこない。「気をつけろ」の回覧板が回ったのか? 「イノシシが来んので栗を持って帰りんさい」

  (2013.10.29 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

 

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2013年10月22日 (火)

「左手のありがたさ」

   岩国市  会 員   林 治子

 
力夕力夕とにぎやかな食器の音。「どうしたん」と犬小屋へ。食事の真っ最中。うまく舌を使うね、と見とれていた。ふと2年前に左手首が折れた時のことを思い出した。手術はしないで済んだものの、ギプスで固定してもらった途端、異変に気が付いた。元気のはずの右手まで動きが鈍い。きっと頭の中で、手に行く指令が混線してしまったのだろう。自分の手であって人の手のよう。食べるということがこんなに大変なことだと思い知らされた。
 「それにしてもお前はうまく食べるな~」と頭をなでると、追加をしっかり催促された。

 (2013.10.22 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2013年10月21日 (月)

「花香る秋」

      岩国市  会 員   山下治子

 新聞を取りにドアを開けると、朝の透けた風と共に、思いっきり甘い香りが飛び込んできた。玄関脇のキンモクセイが満開だ。三十数年前、産院の窓からふわっと漂ってきたのが、この香りだった。「ようこそ、すてきな季節に生まれてくれて」と授乳しながら、母になれた至福の思いに浸ったあの日を懐かしむ。  

その子は元気でさわやかに育ったが、10年前の事故で人生が変わり、思いに任せぬ障害を道連れたが、社会の波に戻ろうとゆっくり頑張っている。今朝も弁当をかついで出かけた。キンモクセイの香りが後を追う。

2013.10.21 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2013年10月18日 (金)

「元気の出た朝」

     岩国市  会 員   森重 和枝

 今日は、朝市の月1回の当番の日たった。メンバーは6人。長く続けている朝市で、お客さんも多く、開始30分は大忙しでおしゃべりする暇もない。
 一段落すると、持ち寄りのおやつをつまみながらお茶タイム。今朝は失敗談になる。1人が「軽トラを出そうとした時、窓をたたかれて、やっと自分のじゃないと気がついたのいね」。次の人は「お疲れさん、と助手席に乗ったら、主人じゃなかったのいね」と大笑い。忘れ物や勘違いの種は尽きず、みんなでワッハッハ! ワッハッハ! 元気で明るい仲間のおかけで、大いに活力をもらった。

    (2013.10.18 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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「がん早期発見まずは受診を」

   岩国市  会 員   山下 治子

坂東三津五郎さんが「膵臓がんに勝った」という笑顔の記事は、6年前の自分と重なる部分があってうれしくなった。 

それは、退職して聞もない秋の夕暮れ時たった。「健診受けよるかね」と食生活改善推進員の方から受診を勧められた。元気印を自負し、健診など何年もご無沙汰だったことに気付かされ、その年最後の健診日ぎりぎりに間に合った。再検査の通知が来た。がんが見つかった。自覚症状など全くなかったが「知らないままだったら、あと1年くらいだったかも」と術後に担当医から聞かされた。

三津五郎さんは勘三郎さんを思い、いつもより早く受診されたことで、極めて難しい部位の腫瘍が発見できたとか。どんな特効薬や神の手よりまず早期発見。私の場合は「受けよるかね」の声掛けが、がんへの意識を目覚めさせてくれた。命の分かれ目とは、そんなふとしたことに気付くことかもしれない。その後、私も推進員になり、健診促進の活動を行っている。
 (2013.10.18 毎日新聞「みんなの声」掲載)

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旅するチョウを撮影

   岩国市   会 員  片山 清勝

 アサギマダラというチョウは、遠く南西諸島や台湾近くまで移動すると聞く。そんなチョウを見ることはないだろうと思っていたが、近くにいると聞いた。
 その場所は錦帯橋近くの吉香公園。秋の七草の一つであるフジバカマの周りを、何種類かのチョウが飛んでいる。カメラを構えた人に「あの大形の数匹がアサギマダラ」と教えられた。
 羽は青灰色で半透明、前羽の外縁に沿う部分は黒く、後羽の外周部は鮮やかな濃褐色。羽を開けば、10センチほどもありそうだ。
 フジバカマの蜜を吸う。一回に吸う時間は長い。カメラを近づけてものぞき込んでも、人を恐れる様子もなく吸い続ける。
 ほかのチヨウのように羽ばたかず、ふわふわと心地よさそうに飛ぶ。上品な舞のようだ。俊敏さはないのに、あれで何千キロも移動するのかと驚く。
 間もなく南へ旅立つそうで、その前の蜜吸いという。写真をしっかり撮らせてもらった。次の出会いまでに彼らのことを学習しておこう。 

    (2013.10.18 中国新聞「広場」掲載)

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2013年10月17日 (木)

「味覚の秋  山の恵み活用思う」

    岩国市  会員  吉岡 賢一 

 秋の味覚といえば、まずはマッタケ。次いでクリにカキ・・・・・・。
 忘れてはならないのが、かめばかむほどに味わい深いとれたての新米のホクホク銀飯。
 ただ、それらは店で購入するものばかりだ。
 かつてはマッタケもクリも、妻の実家からふんだんに届いていたものである。
 特にクリは、剪定や下刈りなど十分手入れをして、クリ拾いに里帰りする私たちを義父母が待ってくれていた。やがて義父母が逝き、義兄夫婦は年老いる。山の手入れをする人手がなくなり、今では大やぶに戻ってしまった。
 働き手が減っていく山間の集落は、山の恵みを自ら放棄せざるを得なくなり、過疎化の要因ともなっている。
 国土の70%近くが森林の日本。眠れる森林資源を有効活用し、食料自給率のアップと、経済活性化につなげられないものか。
 山津波などの自然災害防止にも大きく貢献すると思うのだが。
 

         2013.10.17 朝日新聞「声」 掲載

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2013年10月12日 (土)

「トンビに弁当」

      岩国市  会 員   山本 一

 波止に座って弁当を広げる。一口目を食べようとおかずを持ち上げた。その瞬間。「ガタン」という激しい音と共に、右手の箸が海中に吹き飛ぶ。左手に持った弁当箱にも強い衝撃。目の前を、海面すれすれから急上昇でトンビが逃げて行く。あっという間だ。いつも釣り場のはるか上空を旋回しているトンビだろう。そばでじっと待つアオサギに投げてやった雑魚を急降下して横取りする。まさか弁当にも興味があるとは。
 その後、波止で弁当を食べる時は必ず、まず空を見上げる。少し食べてはふたをして、また見上げる。食べた気がしない。
  (2013.10.12 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

   

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2013年10月 8日 (火)

畑に猫 知恵絞り対抗

  岩国市 会 員   山本 一

いつもの野良猫が、隣の庭から、我が家の庭に入ろうとしている。大声で追い払う。この繰り返しである。

ご近所も毎日、野良猫との戦いだ。一番困るのは当り構わずの排せつ。ふんも尿も強烈な臭いだ。芝生などこんもりした所や整地した畑にふんをする。気付かずに踏みつけると大変である。

先日、庭の一角に大根の種を撒いた。翌日、間違いなく踏み荒らされていた。思案し、通り道を、猫が危険を感じるように細工することにした。野良猫は、いつもみんなに追われて育っている。必ず逃げ場を確保しながら行動するはずだ。

我が家への猫の通り道は3カ所。約1.5m幅の2カ所に園芸用のネットを張った。もう1か所の広い入口はいつも人が出入りする場所。猫が嫌がる音を出す電気式の道具を置いた。

5日間は、庭も畑も無事で、大根もすっかり芽を出した。ふん害もまったくないが、この対策が将来ずっと有効だとは思わない。猫がちょっと勇気を出せば、いくらでも通れるのだから。

2013.10.8 中国新聞「広場」掲載)

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「汗の教え」

      岩国市  会 員   吉岡 賢一

 

小学4年の夏休み、隣のお年寄りに頼まれるまま、田の草取りに初挑戦した。回転式爪の付いた昔ながらの除草機を押したり引いたりしながら、前に進む。頭からは真夏の太陽が降る。足元ではまかれた石灰が水と反応して、素足のすねやふくらはぎはやけどするほどに熱い。がまん、がまんの半日。駄賃として10円もらった。米作りの大変さを身をもって思い知ると同時に、駄賃のありがたさ、裕福さが身にしみたあの夏。
 
 以来、黄金色に染まる稲穂の波打つ季節は、また一つ気合を入れ直し、がまんを呼び起こす節目としてきたつもりだが……。
 
  (2013.10.08 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2013年10月 1日 (火)

「光陰矢のごとし」

 岩国市  会 員   横山 恵子

 

敬老の日とは、我が家では87歳になる母を祝う日と思っていたら、私たち宛てに封筒が送られてきた。それは、3歳になる孫が通っている広島の幼稚園からだった。孫が描いた私たちの似顔絵。私は□が大きく、夫の髪の毛は少なめに描かれていた。敬老の日にあわせた園からの粋な計らいに感謝。
 先日、私は誕生日を迎え正真正銘の高齢者となった。息子が「おばあちゃん、敬老の日だからケーキ買ってきたよ」と母を呼ぶ声がした。「私も敬老の仲間入りをしたんよ」と言うと息子いわく「コメントは差し控えさせていただきます」
  (2013.10.01 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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