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2014年3月

2014年3月29日 (土)

まーるいこたつ

       岩国市  会 員   吉岡 賢一
 

ホームこたつといえば四角いものだと思い込んでいた私は、円形ホームこたつを見つけた時「おっ、これはいける」と直感した。でも値段は四角いものの2倍以上。ウーンどうする? しばし迷う。
 
 家族8人が板の間で、まーるいちゃぶ台を囲んでいた遠い昔の夕飯の情景が目に浮かぶ。食べ物など決して満足ではなかったが、寄り添う家族のぬくもりがあった。そんな思い出が、円形こたつを奮発させた。
 

大きい足、小さい足、温かい足、冷たい足があちこちから入ってくる。気持ちまでまーるくなった冬が行く。春はすぐそこに。
 
  (2014.03.29 毎日新聞「はがき随筆」掲載) 

 

  

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2014年3月25日 (火)

この先 大丈夫?

      岩国市  会 員   安西 詩代

 

友人が「私、近ごろおかしいのよ。同じ物を何度も買ってくるの」と言う。「あるある! 私もゴマが3袋もたまっているよ」とお互いの失敗を話す。
 先日、その友人と広島にバスで行くことにしていたが、乗り遅れて車で行った。楽しく買い物をしてバスの時刻を調べ、まだ時間があるのでコーヒーを飲んでいた。ふと「今日はバスの往復券を買ったかしら? アッ」。2人ともバスで帰るつもりになっていた。

「危なかった! 乗る前に気がついて良かったね」と笑いながらも、2人の心の中に、モヤモヤ霧が立ちこめた。  

  (2014.03.25 毎日新聞「はがき随筆」掲載)  

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2014年3月18日 (火)

子の夢育む配慮 必要

     岩国市    会 員    山下 治子   

 ある団体の創立記念講演会に、かつてサッカー少年 だった息子に誘われて行っ た。  
 往年の人気サッカー選手が、岩国錦帯橋空港を利用して東京から訪れ、「夢を 持つことの大切さ」という演題で熱く語ってくれた。  
 座席は、早くから小中学生や高校生、スポーツ団体やグループの子どもたちで埋まっていた。ところ が、「夢を目指す」子どもたちを座らせたい前列中央は、関係者で占められていた。  
 この日の講演は、子どもたちへのメッセージが中心だった。講師も、子どもたちへの配慮を望んでいたように思えた。  
  「この年頃に得た感動は鮮明に残るんだ。だから、もっと子どもたちを前面に出す企画をしてほしいよね」と息子が言う。当地方は、基地や原発建設の動向で揺れている。子どもたちの心を輝かせるのに、もう少し心遣いが要るのかもと、息子に共感した。 

        
       (2014.03.18 中国新聞「広場」掲載)  

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2014年3月15日 (土)

泡の味

      岩国市  会 員   片山 清勝

 同期との飲み会。「投稿の何が面白いのか」と聞かれ「載るまでのドキドキ感と載った時のうれしさ」と答える。子供ぽいと思ったのか笑われた。「そりゃあ経験せん者には分からんで」と付け加え、グラスを空ける。ビールをつがれる。泡が話しかけるようにムクムクと盛り上がる。「湧き出る気持ちを飾らずに思ったままの言葉で書く。すると、読んだ人にひと泡ふかせる作品になる」と言う。
 
 ほろ酔いになった頭が、同好会で学んだ数々を反すうする。ここは宴席、手元にメモがない。ならば泡との会話を忘れまいと一気に飲み干した。うまい。  
 
  (2014.03.15 毎日新聞「はがき随筆」掲載) 

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2014年3月13日 (木)

大丈夫かな?

      岩国市  会 員   稲本 康代

 年女である私は「きっと良い事があるよ」と正月に妹から言われた。2月に入り突然、次女の一家が岩国に転勤で、大阪から帰り我が家に同居する、という。びっくり仰天である。 
 
 10年余り1人暮らしに慣れて少々、自堕落な生活をしている私が、今更若い人と一緒に暮らせるかなー。うれしさと心配が交互に湧いてくる。ある人は「娘と同居とは良かったね。いいな」。また、ある友は「大変だよ。先が思いやられる」と私を気の毒がる。
 
 3月末に一家4人が帰ってくる。私の人生、いかに展開するやら。期待と不安の日々である。
 
   (2014.03.13 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2014年3月12日 (水)

おたがいさま

    岩国市  会 員   山下 治子

 2ヵ月前、夫が頚椎の手術をした。ようやく首のカラーが取れたと大喜びの翌日、今度は私が半月板断裂等で入院となった。出先で履いたスリッパが滑り転倒、たかが転倒と思いきや痛みに耐えきれず、救急車を夫にすがった。動きの割には脳も体も年相応、用心されよと悟された瞬間に思える。手術後、担当医から、加齢も原因、と一言添えられた。 
 
 まだ完全ではない夫が大雪の日も病室へ日参してくれた。すさまじいけんかを繰り返しながら夫と私は百人力で家族を守ってきた。今は2人で1人分だ。支え合う「人」という字が夫婦と読めた。
 
  (2014.03.12 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2014年3月11日 (火)

年金対応の舌

       岩国市  会 員   山本 一

 
「何にする」「ワインをお願い」と妻が答える。私の毎日の晩酌に、グラスー杯だけ付き合ってくれる。日本酒の良いのがあれば別だが、大抵は甘口の赤ワインを飲む。ワインといえば聞こえは良いが、フルボトルで300円以下の超格安である。私もグラス1杯の辛口の赤ワインを、ビールと焼酎の合間に飲む。妻より高いが、こちらも400円以下だ。だが、2人とも味に不満はない。
 
 退職して10年が過ぎ、夫婦共々、年金対応の舌になった。そう思うと少し寂しい気もするが、赤ワインの効用をネットで確認し、小さな幸せに浸る。
 

  (2014.03.11 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

 

   

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報道写真集 津波の脅威重く

岩国市  会 員   角 智之

  空前の被害をもたらした大震災から3年になるのを機に、写真集「報道写真全記録2011.3.114.11東日本大震災」(朝日新聞出版刊)を買った。ページを繰ると、津波の脅威が目に飛び込んできた。

 松林を通り抜けて住宅へ迫る海水、木の葉のように流される車。大きな貨物船ががれきの中の住宅街に取り残され、周囲には大きく破損した家々がひしめき、すぐ近くまで火災が迫る光景に、衝撃を受けた。

 まな娘たちの遺体が見つかった現場近くで「仲良く食べるんだよ」と、号泣しながらお菓子やジュースをまく母親の姿が痛々しい。

 亡くなった人たちを土葬する場所は、広く掘られた穴をベニヤ板で仕切ったもので、遺体に花などを供え、最期の別れを告げる遺族の様子が涙を誘う。

 写真裏は、テレビや限られた紙面からはうかがえない姿を伝え、震災から1ヵ月間の復興状況を記録する。被害が東北から関東の沿岸部のみならず内陸に及んだこともわかる。これらの記録は、近い将来、高い確率で発生するといわれている東海地震や首都直下地震の参考にもなるだろう。
  (2014.03.11 朝日新聞「声」掲載)

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2014年3月10日 (月)

新たな目標

       岩国市  会 員   片山 清勝

京都に住む孫娘が平仮名を読み始めたのは3歳になる少し前。コミュニケーションを図ろうと作り始めたB5判の小さな孫新聞は150号を超えた。その聞、大きな患いをせず育ったことが一番の喜びだ。
 
 小学4年ころから不定期に「じいちゃんの小・中学校時代」という記事を載せてきた。それも春から高校生になるので終わる。短い文章だが、古い写真帳を開いたり、学校のホームページを訪問したりと、内容には思い入れがある。そこで全記事を小冊子風にまとめ読み返した。
 
 木造校舎のすきま風、都会の文化に驚いた修学旅行、楽しんだ学校行事、実業高校を選んだ進路面談、生徒会やクラブ活動で学んだことなど、簡単な時代背景を織り込み書いている。どれも短い帰省の間には話せなかったことばかりだ。
 
 ただ、60年近くもさかのぼる回顧は、私の独りよがりで、孫の学校生活に役立つような内容は見当たらない。それでも読んでくれたことを喜んでいる。
 
 私は近くの小学校を卒業した。錦帯橋や氏神様はそのままたが、町の姿や周りの風景、生活様式などは大きく変わった。時代や町の様子を書き加えて写真も載せ、「私の小中学校時代」のミ二本を時間がかかっても作ってみようか。
 
 高校生になる孫は新たな目標を立てる。ただ「頑張れよ」と応援するのでなく、私もミ二本作りを新しい目標にしよう。

  (2014.03.10 毎日新聞「男の気持ち」掲載)

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