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2014年12月

2014年12月17日 (水)

思い出温か まき生活

    岩国市  会 員  片山 清勝

 陶芸家が窯でたくまき作りに何日も費やし、それを積み上げた時の喜びをつづった文章を読んだ。ふと、家庭燃料が木材だった頃、軒下に積まれたまきが、冬前になると一段と高くなっていたことを思い出した。
 伐採で用材にならなかった木や間伐材、雑木などを近所で共同購入し、それらを各家庭でまきにした。
 まきは、ご飯を炊き風呂を沸かす燃料に。おき火は消しつぼで炭に変わる。その炭は、しちりんで煮炊きをし、火鉢で暖を取りながらやかんでお湯を沸かす。
 松の落ち葉と小枝は、かまどでのたき付け用に使った。燃え尽きて残った灰は、畑に肥料としてまいて野菜を育てる手助けとなった。
 まきがプロパンガスに替わったのは、昭和30年代前半。父はまき作りから解放されたことを喜んでいた。それとともに国内産の木材は利用が減り、山は荒廃していった。
 木を使いこなしていた頃には戻れない。そう思いながらも、エネルギーの多様化に木材復活はないのか、と考える。  

    (2014.12.17 中国新聞「広場」掲載)

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2014年12月 6日 (土)

ちょっとおしえて

    岩国市  会 員   山下 治子

 

どでかい鬼柚子を頂いた。口早にピールの作り方も教えてくれたが、記憶力が近ごろお粗末。便利さに重宝しているパソコン頼みでレシピを引き出し、その通りに作った。が、いまいち果肉のふくらみが気に入らない。何でと思ったとたん、母親代わりの姉に電話している。

「あのさぁ……」「……柚子のバカタレ18年と言ってネ。もったいない。それはワタの取りすぎ。どうせパソコンでしょ。パソコンに味覚はないからね」と戦中派アナログ姉の毒舌とハジャフジャ雑談は続く。うるさいよと思いながらも、なぜか快くてたまらない。

  (2014.12.06 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2014年12月 5日 (金)

臓器提供の意思 受け入れた夫

       岩国市  会 員   安西 鈴代

 
脳死判定が出たら臓器を提供したいと話したら、夫に反対されたという「脳死臓器提供 答え出せない」(1130日)を読んだ。
 私たち夫婦も臓器提供意思表示カードができた時、話し合った。夫は、臓器は提供しないと言った。私は提供の意思をカードに記した。夫は何も言わずに家族署名欄にサインした。
 死んでから人の役に立てることは少ない。私は、自分に必要がなくなった臓器が他の人の役に立つのならこの上ないことと思う。
 先日、6歳未満の女の子の臓器が提供された。「遠くに旅立った子どもが誰かの体の一部になって生きてくれる」ことは、ついて行きたくなるほどのご両親の絶望感を少しはやわらげてくれるのかもしれない。

「短い人生の最期に他のお子さんの命を救うことになれば、残された私どもにとっても大きな慰め」というご両親に、移植を受けた方やその家族の喜びが、感謝の祈りとなって届いているに違いない。
 私の体は年々、年をとっているが、風邪もほとんどひかない丈夫さ。次の世代に送るため、粗末に扱わないで大切にしよう。

2014.12.05 朝日新聞「声{掲載}

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腕時計

         岩国市  会 員   角 智之

 社会人になって間もなく週刊誌の特集で腕時計を取りあげていた。当時、珍しかった自動巻きの仕組みについて興味深く読んだ。 
 昭和30年代後半に国産の自動巻きが発売された。価格も手ごろなため迷わず買った。使用してみると振り子の動く感覚が少し気になった。その後、電池式が主流となり、日付や曜日の修正も不要となるまでに進化した。平成5年、転勤を機に最後の一本を買った。時間の正確さは孫の持っているキャラクター時計に及ばないが、重厚なデザインは気に入っている。先日、5回目のメンテナンスを受けた。末永く大切に使おうと思う。
  (2014.12.05 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

 

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2014年12月 3日 (水)

なっちゃんへ

 岩国市  会 員   貝 良枝

 

昨年、父さんが死の淵をさまよっていた時、仕事を辞めて帰る決心をしてくれてありがとう。母さんは心強かったよ。

あれから父さんは、奇跡の回復をし、車イスにも乗れるようになりました。父さんは、私ではなく貴女に車イスに乗せてもらい、院内を散歩するのを、とても楽しみにしていました。治療で薄くなった髪を散髪したり、気に入るおやつを買ってきてあげたり、よく世話をしてくれましたね。

62歳で逝ってしまった父さんの無念さを思うと涙が出ますが、貴方と過ごしたあの時があるから救われる気がします。父さんに幸せな時間をありがとう。そして、母さんにも幸せな時間をありがとう。それは、夕食を作って貴方の帰りを待つ時間。寂しさが薄れます。

貴方が、素敵な人と結婚するまでのひとときでしょうが、仲良く暮らしましょうね。その頃までには、母さんもひとりで涙が拭けるようになっているでしょうから。

2014.12.07 猪苗代町絆づくり実行委員会「母から子への手紙」入選)

 

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2014年12月 1日 (月)

○×△同窓会

      岩国市  会 員   安西 詩代

高校を卒業して50周年。久しぶりに同窓会に出席した。

なかなか会うことのなかった仲良しの友だちは離婚して久しい。その彼女が言う。
 「私、×(バツ)イチではなくて(マル)イチと呼んでね」と。
 なるほど、彼女は結婚には失敗したけれど、離婚してからは幸せなので離婚は×ではなく○だった。だから×イチではなく○イチ。
 先日のテレビで60歳以上の夫婦にアンケートしたら、お互いが結婚して大満足の人は数%だと言っていた。では大多数の結婚している夫婦は(イマ)イチ? 離婚○イチの彼女が「次に結婚する時は、すごく愛している人となら何も要らない」と乙女のように言った。 
 すかさず△イチの仲間が一言。 
 「愛が一生続くわけないでしょう!」
 でも、その「愛」という言葉で、それぞれが青春の一コマを思い出した。さあ始まるよ、同窓会。
 高校時代に戻った顔、顔、顔!

2014.12.01 毎日新聞「女の気持ち」掲載)

 

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