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2015年10月

2015年10月30日 (金)

三文の得

      岩国市  会 員   森重 和枝

 

リビングに入ると、黄色の四つの実をつけたフォックスフェイスが目にとまる。朝市でみつけ、買ってみた。出荷した人が「水を入れると実が腐るからね」と親切に教えてくれる。庭の花も少ない時だし、水替え不要なら、なお結構だ。 
 マジックで目と口を書いてみたら、かわいい狐の顔になる。フォックスフェイスは和製英語らしいが、納得できた。
 ふと、顔をあげると小さい目と合う。丸いのや長い顔、青白い小さな顔がみつめている。  

黄色は幸福な気持ちにさせてくれる。早起きして、朝市へ行って随分得した気分になれた。    

   (2015.10.30 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2015年10月23日 (金)

脱 皮

     岩国市  会 員   角 智之

 

家内が屋根に落ちた枯れ葉の掃除をしていると、樋のくぼみでヘビの抜け殼を見つけた。
 この地へ引っ越して38年、ヘビを見かけることはまれだが、屋根まで登った痕跡を見たのは初めてだった。新築と同時に植えたハナミズキも大きくなり、  この枝を伝って登ったのであろう。ヘビは嫌われものだが、抜け殼を財布に入れておくと金がたまるといわれている。
 白蛇は弁天さまの使いで、縁起をかつぎ手厚く保護されてきた。干支のうち脱皮をするのはヘビだけだ。面倒な病気を抱えるこの体を巳年生まれのよしみで、脱皮させてほしいと願う。
  (2015.10.23 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2015年10月20日 (火)

足音の予感

  岩国市  会員  吉岡 賢一 

 

近くに住む孫三兄弟の兄ちゃんは中学生最後の、そして三男坊は幼稚園最後の運動会となったこの秋。 

手に汗握る躍動や、思わず手を添えたくなる幼い姿に、私たち応援団は声援を送り続けた。 

中でも、必死の形相で脱兎のごとく土を蹴る兄ちゃんの足音は、確かな成長を物語るようで実に頼もしい。かつては、今の三男坊と同様にハラハラドキドキで応援したものである。 

そんな三男坊が中学3年になったとき、どんな足音を聞かせるのか。そのとき兄ちゃんはどんな足音を響かせるのか。 

ジジの夢には際限がない。  

  ( 2015.10.20  毎日新聞「はがき随筆」掲載 )

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2015年10月18日 (日)

頂いた味わい

    岩国市  会員      山本  一 

 「うまい」。思わず声が出る。初めて出会う味わいだ。天ぷらにすると、他の山菜にはない、ねっとりとした食感がある。
 7月に趣味仲間からウワバミ草の苗をもらった。見るのも聞くのも初めてである。「早くたべてみたい」。思いと裏腹に、1週間で全て枯らした。再び無心し、今度は見事に根付く。私のドジを見越し、絶対に枯れないように根分けされたものだった。それにしても仲間全体で、1回目に十数鉢、2回目も同じ程度をもらった。その労力と親切心が味をさらに深くする。今夕は2回目の収穫。「あまり採るとまた枯らすよ」と妻が脅す。
 

       (2015.10.17  毎日新聞「はがき随筆」 掲載)

 

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2015年10月 9日 (金)

オヤジバンド

        岩国市  会 員   上田 孝

 

グァーン、会場いっぱいに響き渡るエレキの音と七色の照明。オヤジバンドの演奏会はサングラスに革ジャンのグループによる激しいロックで幕を開けた。思っていたよりうまい! 懐かしい曲でもあったので思わず体が反応した。   
 全部で8グループが演奏したが、舞台のオヤジは音楽大好きというオーラが出ていて皆若く見える。やっぱり生演奏はいい。聴覚だけでなく体の芯まで刺激される。
 観客のおじさんも負けじと手拍子するが、私も含め恥ずかしさが混じってやや仏頂面。来年はもっとリラックスしてのりのりで演奏を盛り上げたい。

 (2015.10.09 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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