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2015年11月

2015年11月27日 (金)

友の菜園 知恵に感心

   岩国市   会 員   片山清勝

 菜園づくりが趣味の知人の姿を久しぶりに見掛けた。いつも肥沃な畑の様子は変わらないのに、何本ものペットボトル製の風車が、がらがらと音をたてて回っている。
 初めての光景に驚き聞くと「まあ、見てくれ」と指さす一画の野菜がしおれている。原因はモグラが地下で遊んだからと笑う。地中へ振動を伝えると侵入防止になることが分かり、風車を手作りしたという。
 ペットボトルで風車を作る。その風車の胴体に小石を入れる。風車が回ると中の小石が動き、音と振動が起きる。その音と振動は、風車を取り付けた細い鉄の棒を伝わって畑に届く仕組みだ。
 風車の設置でモグラの侵入は減少したが、せめぎ合いは続いている。友は、 「農業は脳業で脳トレにもなる」と話す。
 初冬の日差しが降り注ぐ畑。地下のモグラと菜園主の暗闘を知り、いつものように持たせてくれた野菜へのありがたみが増した。

        (2015.11.27 中国新聞「広場」掲載)

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2015年11月26日 (木)

良い年来るかも

       岩国市  会 員   山下 治子

 

予報通り降り出した雨にふと思い立ち、障子をはずすと外に出した。その昔、年の瀬近くになると、父は障子を張り替える前に必ず雨にさらした。そして、雨があがると塀に立てかけ、障子の桟に付いた糊を姉だちと洗い落とした。

我が家の障子はここ何年もそのままだ。紙は色あせ破れも見事で貧乏たらしい。今年こそはと思いながらやり過ごしてきたが、やっとこさ腰があがった。

 父が生きていたら何と言われたことか。手こずったが、そんなこんなを思い懐かしみながら張り終えると、敷居にきっちり夫が収めてくれた。

   (2015.11.26 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2015年11月23日 (月)

買い物難民

       岩国市   会 員   林 治子

 

♪お店がだんだん遠くなる、遠くなる♪と替え歌を口ずさみながら自転車のペダルをふむ。目指すはスーパー。今年に入って近くの店が閉店し、それより少し遠い店が建て替え中。やむなくその次に近い所とどんどん遠くなる。考えてもみなかったことが起こってきた。苦手なメモを片手にそれも忘れがち。これも脳トレかと記憶をたよりに店内をウロウロ。何と時間のかかること。心身共に使い果たし家にたどりついた時は大仕事を片付けた気分。「あーしんど」と思わず声が出た。昔はやった「買い物ブギ」のメロディーが聞こえてきたような気がした。
  (2015.11.23 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2015年11月20日 (金)

長生きしてよ

      岩国市  会 員   貝 良枝

 

早朝、電話が鳴る。出られなかった。また鳴る。出ると切れた。

 父も義母も亡くなった知らせは早朝だった。そう思うとやっぱり気になる。着替えもそこそこに、母の家に急ぐ。

近ごろ、顔が小さくなったなアと感じていた。昨日は足がむくむと言っていたなア。

鍵は開いている。声をかけたが返事はない。

「お母ちゃん!」

 洗面所から驚いた様子の母がのぞく。

 「お、おはよう」。電話は母ではなかったようだ。ひとり胸をなでおろす。母87歳、一人暮らし。

    (2015.11.20 毎日新聞「はがき随筆」掲載)  

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2015年11月19日 (木)

5分間・…

   岩国市  会 員   樽本 久美

 

 実家にある私のピアノ。途中姪の家に嫁入りしたが、また実家に戻ってきた。音楽好きな父はすぐにメンテナンスをした。

 毎日親のヘルプに来る私。時間があったので、ピアノを弾こうと思い、あけると、なんとカビが。すぐに拭いてみたが、落ちない。仕事があるので、そのままにして帰った。なんでも、メンテナンスは必要である。

昔は、ピアノの練習がいやでいやでたまらなかった私。今は、昔弾いていた曲を、時間がある時に少しだけ弾く。なかなか手が動かないが、今では「やさしい気持ち」になれる時間となった。84歳の父も聞いている。

2015.11.19 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2015年11月14日 (土)

元気をもらう

 

 岩国市  会 員   横山 恵子

 

古里近くで祭りがあると聞き、妹夫婦と出かけた。
 標高500㍍から深呼吸。地域の平均年齢は82歳とか。祭りを行うにも親元を離れた子供たちの手助けが欠かせない。神楽、餅つき……。昔に戻ったにぎやかさ。空き家や荒れた田畑が多い中、稲刈りを終えた田を見るとホッとする。

 古里の家に寄り、まず墓参り。主が入院中の庭に赤トンボ2匹。3週間余り雨降らずとも青々と育つ白菜などを見て妹が「すごい、見習わんといけんねー」と叫ぶ。水やり、草取りをしておじを見舞う。元気そうでひと安心。古里の空気は一段とおいしい。  

  (2015.11.14 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2015年11月11日 (水)

うらなり万歳

      岩国市  会 員   安西 詩代
 

「これ、うらなりだけどおいしいのよ」とミニトマトを夫に差し出した。夏は終わり葉も枯れてきたのに、枝の先にまだまだたくさんの実が色づいている。

 私は七兄姉の一番下。「どうせうらなりだから」と反抗すると、母は「うらなりはあなたみたいに大きくならないのよ」と答えた。10歳上の兄が戦後食料がなく、農家に毛布を持って行き、お米と交換してもらったそうだ。お陰で一度もひもじい思いをしたことはなかった。

  「うらなり」は一番得だった。

 うらなりトマトを食べた夫は「うまい!」と言った。私が褒められた感覚になった。

 2015.11.11 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

 

 

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2015年11月10日 (火)

渋抜き

      岩国市  会 員   片山 清勝

 

今年も渋柿をもらった。皮を剥き、軒下にぶら下げ陰干しにして干し柿にする。この作業を始めると「熟すまで待つ」という祖母の渋抜きを思い出す。

木箱に、青く硬い柿を並べ、それをもみ殼で覆い隠し、蓋をしてそのままにしておく。年が明けると祖母は蓋を開ける。待ち遠しい一瞬だ。もみ殼を除くと、赤い熟し柿が姿を現す。

果肉のとろっとした口触り、その中に満ちていた甘さは今も覚えている。この技を受け継がなかったことを残念に思う。

10月から後期高齢者に。身についたいやな渋をどうして抜くか思案している。

  (2015.11.10 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2015年11月 1日 (日)

男のおむすび

   岩国市  会 員   山下 治子

 今月の「男性の料理教室」は私たちが当番。近くの川土手をノルディック・ウォーキングしてみないかという提案があった。男性内からも野外活動を望む声は出るのだが、人手が要るし心配ごとも多く、なかなか実現しない。でも料理をおむすびと豚汁くらいにすれば何とかなるのではということで、試みにやってみることになった。
 今秋は台風の襲来が多く、当日の予報も「午前中まで雨」。心配したが、幸い薄曇りで風が心地いい日和になってくれた。
 まずは各自で昼食用のおむすび作りだ。男子厨房に入らずの世代だ。参加20人中7人が一度も作ったことがないと言う。その一人から「災害の時、握り飯くらい自分で作りたいし、作ってあげたい」と、先日の洪水被害に言寄せた発言があった。  

 出発前、血圧測定で2人の男性が要注意となり、居残り調理班と一緒に豚汁作りに回ったが、「次回は血圧下げて一緒に歩くからな」と気持ちよく見送ってくれた。
 市から借りたストックを持って歩き出すと、右手と右足がそろってしまってまごつく人もいた。ただひとりマイストック持参の男性は「買っても使うことがなくてね。これを機に歩くよ」とストックを高く挙げ、万歳ゴールした。
 4㌔足らずのコースだったが、汗を浮かべて全員が笑顔でゴール。豚汁はあっという間になくなった。
 私は具だくさんでずっしり重くてごつい「これぞ男」というようなおむすびをいただいた。   
     
(2015.11.01 毎日新聞「女の気持ち」掲載) 

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