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2016年6月

2016年6月30日 (木)

生き抜いて

         岩国市  会 員   横山 恵子


 
もうすぐ義母の一周忌。
 幼くして母を亡くし、27歳で末亡人となり幼子2人を抱え、がむしゃらに生
きて来た。
 
戦前、中国勤務となった公務員の義父と共に中国へ渡る。そこで昭和16年、
夫が誕生。戦争が終わり、4歳だった夫を遅れ、帰国途中、何人もの中国人に「その子供をくれんか?」と言われたという。泣く泣く渡した人も多かったろう。その中国残留孤児たちも戦争の被害者。
 
夫は船中で「見ず知らずの人がくれたおにぎりのおいしさは生涯忘れられん」と言った。しかし、夫も亡くなった今、その続きを聞くことはない。
  (2016.06.30 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2016年6月26日 (日)

「よく」ある話

       岩国市  会 員   山下 治子

 

 「オレ、お金持ちになる」と帰って来るなり、孫が言う。

 「お財布ちょうだい。これを入れとくとお金が貯まるってジイちゃんがくれた」と、いつもなら蛇を怖がる孫が興奮気味に話す。カラの財布を渡すと蛇の抜け殼を入れ、一時も離さず抱いて寝る。だが、翌日から「何でエ」と半べそ顔だ。

 すきを見て小銭を入れた。大喜びで大騒ぎ。以来、成り金伝説で気が済んだのか欲がない。
 その孫も6年生。この話をすると照れてにらむ。今朝、草刈りの時に夫が見つけた蛇の抜け殼に「やっと金持ちになれるかな」と二人で思い出し笑った。
   (2016.06.26 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2016年6月21日 (火)

気まぐれ罪作り

      岩国市  会 員   吉岡 賢一

 

今年は玉ねきが不作だった。初体験する惨めな姿に「畑作りが悪かったか?」「植えた時期は?」「肥やしの時期や量は?」などとまずは自分の腕を疑った。いずれも例年通り、特別なことは何もしていない。

 あえて言うなら今年は欲張って過去最高600本植えた。「狭い畑に詰めすぎたのが間違い」と結論し、欲張りを犯人にでっち上げた。そのうち専業農家の友人が「今年の玉ねぎは全滅じゃった」と言い、玉ねぎ不作がニュースになった。

 腕が悪かったのでも、欲張りが犯人でもなかった。ただ、おてんとう様の気まぐれだった。

  (2016.06.21 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2016年6月 4日 (土)

誤解です

   岩国市  会 員   山本 一

 

「一日中釣り糸垂れて世捨て人」「気の長い釣り人今日も日向ぼこ」「星空に釣り糸垂らし春の夢」。川柳句会で仲間3人がこの句を詠んだ。釣り好きで退職後も週1回必ず釣行きする私は黙っておれなかった。

 「釣れる」ではなく「釣る」のである。一心に獲物に集中し五体を絶え間なく動かし常に誘いをかける。帰宅したら体重は約1㌔、体脂肪も釣1%減少する。健康のためにあえて体を動かす私は極端かもしれない。が、冒頭の句にあるような情景には書物以外では出会ったことがない。大げさに言うと釣りキチの目は血走っている。

   (2016.06.04 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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