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2016年9月11日 (日)

恩送り

   岩国市   会 員   山下治子

 病院へ健康診断を受けに行くと、顔見知りで保健師のNさんも受診されていた。
  「どこか具合でも」
  「しっかり健診を受けましようと言っておきながら、勧める側の者が受けてなかったら、物申せないから」
 真面目な彼女らしく、きっちり仕事を踏まえてのことだった。感心していると、手帳に挟んだ新聞の切り抜きを取り出された。
  「あなたのこの文章、集会などで使わせてもらっていますよ」
 それは、広場欄に掲載された「母の日には『恩送り』」という私の投稿だった。
 辞書に「恩返し」はあるが、 「恩送り」はない。お世話になった方へ親切を返そうにも返せない場合、代わりに誰かにその恩返しを受けてもらう。送られた次の人がまた次の人に送り、たくさんの人たちで送りつないでいく、という意味を持つらしい。
 親代わりのような姉が5年前、教えてくれた。その時、母の日に送り続けた感謝の鉢植えを断って、「その分、義援金として被災地に」とのことだった。以来、私は東日本大震災と先頃の熊本大震災の被災地へ、つもり貯金やつり銭貯金でためたわずかな分を送らせてもらっている。
 私の投稿に共感してくれた人が身近にいたと知って、驚いた。恥ずかしくて、うれしくて、大きな励みになった。

     (2016.09.11 中国新聞「こだま」掲載)

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