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2016年11月23日 (水)

検便とがん

     岩国市   会 員   片山清勝

 高齢者の仲間入りをした頃、家庭医から検便を勧められた。それから年1回、受けるようになった。数年が過ぎた。検便の判定に基づいて諸検査を受けた。大腸がんで手術が必要、と診断された。
 紹介先の主治医から手術について一連の説明を聞くと、よく理解できた。「くよくよせず、主治医に任せよう」と決めたら、気持ちは楽になり、手術への恐怖も薄らいだ。
 初めての入院手術だが、がんは早期でもあり、術前後、深刻な心配はしなかった。しかし、高校時代の級友数人ががんで亡くなっており、術後の定期検診の結果を聞くまでは一抹の不安はあった。その席に妻はいつも同席していた。 
 
どの検査結果でも異常はなかった。
 手術から今年5回目の秋になった。がん治療の結果は5年の生存率で示されることは主治医から説明を受けている。その最終検査もスムーズに終わった。
 呼ばれて診察室に入る。コンピューター断層撮影(CT)画像がモニターに映り、主治医が見つめているのはいつもの光景。「転移などもなく、がんは治りました。検査は終了です」と最後の検査だったと告げられた。妻と二人、主治医に頭を下げた。
 検査は内視鏡、血液、CTなど経過月数によって組み合わせが変わる。内視鏡検査前、腸内を空にするため腸管洗浄剤を飲む。数回飲んだが、あの難儀は筆舌に尽くしがたい。今はおかげさまで思い出になった。

    (2016.11.23 中国新聞セレクト「ひといき」掲載)

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