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2017年5月25日 (木)

結婚50年

   岩国市   会 員   片山清勝

 私ら夫婦は先月、金婚式を迎えた。両親は達成できなかったと思うと、何かしら感慨がある。
 父は50代半ばで急逝した。病身の母とまだ高校生の妹を含むきょうだい4人が残された。
 弟は遠地で働いていた。
 私は長男。20代半ばで何の準備もないまま、家族という重荷を背負うことになった。三交替勤務の身だったので、思うように家事をこなせなかったが、妹2人と協力して母を助けた。
 父の死から3ヵ月が過ぎた頃、結婚の話が持ち込まれた。仲に立つ人は、わが家の状況について「先方に伝えてある」と言った。話はまとまり、母、妹たちと同居する形で結婚生活がスタートした。
 父の亡くなったショックもあり、母の病状ははたで見るより厳しく、手のかかる状態が続いた。妻は専業主婦として母の介護をしながら家事一切をこなした。
 食事療法で母の症状は次第によくなる。長男が園児の頃には怪獣ごっこを楽しみ、趣味で菜園も始めた。
妻と多少のすれ違いは生じたが、いつの間にか「嫁にみとってもらう」というのが母の願いとなった。
 結婚・同居から20年がたったある日、母は救急搬送された。面会謝絶の中、妻に手を握られて逝った。
 今年、妻は母の享年に並んだ。年齢とともに変わる体調、特に足腰の変化が母に似てきている。
 一昨年は父の五十回忌、来年は母の三十三回忌。法事を続けられることが小さな幸せかと思う。

      (2017.05.25 中国新聞セレクト「ひといき」掲載)

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