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2017年10月

2017年10月16日 (月)

やったね88歳

      山陽小野田市  会 員   河村 仁美

 市では時計が午後6時を指すと「ふるさと」のメロディーが流れる。聞きながら愛媛に1人で暮らす父に思いをはせる。
 耳が遠くなり電話で父の声を聞くことができないので帰省した。10年くらい肺気腫を患っていたが、今では見違えるほど元気になりデイサービスに週3日通っていると弟が言う。お墓参りで、弟に手を引かれながらも一生懸命に坂道を上る姿を見てまだまだ元気と安心した。
 昨年の数え年での米寿のお祝いの席で「健康長寿」と力強く願いごとを書いた父がまもなく満88歳を迎える。
 

 父さん、誕生日おめでとう。
  (2017.10.16 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2017年10月14日 (土)

カーテンの洗濯

   岩国市   会 員   片山清勝 

 秋のよく晴れた日、我が家恒例作業の一つ、カーテンの洗濯をする。私の分担は、取り外しと洗濯後の取り付けの二つ。
 取り外しは、大した作業ではない。外した後でレールを水拭きする。
 洗濯を終えたそれは、水分を含み、取り外し時の倍くらいの重さと感じる。これをレールに取り付けるのは、両腕を上げた姿勢で行う。年々、骨が折れる作業と思う度合いが増す。
 現役の頃は家内1人でこの作業をしていたことになる。まあ、若かったが、大変だったろう。    
 気持ちよさそうに揺れるカーテンを見ながら、お茶を飲む。
    (2017.10.14 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2017年10月 9日 (月)

孝と不孝と

 岩国市  会 員   吉岡 賢一

  その朝は、ちゃぶ台に卵が1個置かれていた。「これを飲んで滋養を付けて徒競走を頑張って」という家族の願いが込められた生卵である。台所では仕事を休んだ母が、運動会の弁当を手際よくこしらえている。
 「ヨーシ、今年こそはいいとこ見せよう」と気張ってはみるが、生来の鈍足。生卵のかいもなく孝行できないままに終わった。
 夢に描いた都会生活も俊足の兄に先を越された。夢を封印し同居を選んだ。父も母もこの手でお浄土へ送り届けお墓も仏壇も守っている。少しの孝と遠い昔の不幸が思い出される秋半ば。金木犀の香りが心潤す。
   (2017.10.09 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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メモで知識を充実化

     岩国市   会 員   片山清勝

 ある会の会報編集を年6回している。孫新聞は作り始めて17年だが、その作り方はいわゆる我流で通している。
  「伝わる文章力 広報紙の作り方のこつ」という興味を持たせる講座が公民館で開かれ、参加した。 広報に必要な文章の書き方、分かりやすいレイアウトなどの講義があった。
 文章は「分かりやすく、読者の気持ちを思って書くこと。もちろんミスは撲滅する」など、事例を交えての解説に納得した。
  「メモは言葉の引き出しを増やす」という言葉が心に残った。「これは」と気付けばメモする。書けないときはデジカメに撮っている。しかし、それはちょっとした覚書で、その存在を気にすることはなかった。
 今回の講座のレジュメにいくつか短いメモを残している。それがなければ、ポイントは思い出しづらいと気付いた。
 メモは知識の引き出しを充実させる。粗末にしてはつかんだものを逃してしまう。さて、次回からどう生かすか思案している。

     (2017.10.09 中国新聞「広場」掲載)

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2017年10月 4日 (水)

日々楽しむ友

   岩国市   会 員   林 治子

 百日草が生き生きと描かれた絵手紙が届いた。どなたから、と思わず差出人を確かめる。しかし、名前だけでは顔が浮かんでこない。
  「あなたの絵手紙を新聞で拝見しました。この頃、同窓会にはお出掛けではないのですね」。添え書きがあった。それで分かった。高校時代、仲が良かった友だちだ。
 声を聞きたくなった。急いで受話器を握り、電話をかける。呼び出し音が長い間続く。なかなか出てくれない。大きなお屋敷かも、と想像をたくましくしながら待つ。もう切ろうかと諦めかけた時、「もしもし」と細く優しい声がした。「あなたの絵手紙を偶然、新聞で見つけたのよ」から始まって、しばらく思い出話が続いた。
 今は1人暮らしで、24時間全部が自分の時間だという。 「お金も自由にたくさん使えれば、なおいいのだけど」 
 ふふふ、と笑って彼女は言葉を続ける。
  「1人で何でもするのよ。洗濯、掃除、買い物、料理。時間はかかるけれど、とても楽しいのよ」
 聞いていて、うらやましかった。―人で身の回りのことをこなす方は多いが、楽しんでしているとなると、どうだろう。嫌々、あるいは仕方なくしている人も少なくないのではなかろうか。
 日々、楽しんでいるなんて最高だ。見習わなくては。

       (2017.10.04 中国新聞「こだま」掲載)

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