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2018年9月

2018年9月24日 (月)

第一関門

        岩国市  会 員   河村 仁美

 

 結婚した時に義姉から「河村家は男子薄明だから。覚悟しておいたほうがいいよ」と言われた。その主人が第一関門の還暦を迎えた。自分のお祝い事にお金をかけるのは、もったいないという主人なので、2人の娘と相談して全員で写真館で記念写真を撮って、自宅でささやかな食事会をする計画を立てた。
 写真の撮影が予想以上に大変だった。赤いちゃんちゃんこは嫌だといっていた主人に、おいっ子からまさかの赤のポロシャツプレゼント。それに合わせて全員私服に決定。孫が4歳から1歳までの4人。それに大人6人が加わり総勢10人。 

 まず立ち位置を決めてそこから動かないようにするのに一苦労。泣いてしまったらアウトで短時間勝負。何とかプロのカメラマンの技術で、素敵な笑顔いっぱいの写真が完成した。         

 料理は主人が自ら刺身をセレクト。自分で引き、みんなをもてなす趣向だ。注文したオードブも加えてうたげがスタート。それぞれの娘夫婦が用意したプレゼントを孫から受け取り、にんまり。ケーキの前ではケーキに手を出さないように孫を膝に乗せ、4人の孫に囲まれて、じいじ還暦おめでとうの声に満面笑み。その後は孫と花火をして早く寝かせる作戦を立てる。 

 とりあえず婿さんと男3人で2次会開始。それに孫を寝かせた娘2人も加わり、3次会で楽しいうたげはお開きとなった。
 ただ今、医者通いで身体のメンテナンス中の主人。第二関門の古希でも全員で写真が撮れるように元気で頑張りましょう。

  (2018.09.24 毎日新聞「女の気持ち」掲載)

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2018年9月20日 (木)

待合室

     岩国市  会 員   林 治子

 

理容室のドアを押した。先客が座っていた。散髪の真っ最中。迷いに迷って染めることをやめる決断をした時「カットだけならここ」と決めた。

どうやら終わったらしい。「いくらかの~」という。「○○よ」と返事。一生懸命お金を数えている。「うちの嫁さん、きっちりしか金くれんな~。1枚くらい余分に入れたろうとは思わんのかいな。帰りに遊ぶこともできんわ」とボヤきながら支払っている。「でもの~帰ると、やっぱり散髪しんさると、またほれ直したわと言いよる」とノロけた。居合わせたお客が思わずごちそうさまの大合唱。

 (2018.09.20 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

 

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2018年9月19日 (水)

直したけれど

 山陽小野田市  会 員   河村 仁美

 娘婿は大工さん。困ったときにすぐ駆けつけてくれる我が家の救世主。今回は劣化による流し台の水漏れSOS。思い切って台所のリフォーム工事を依頼。キッチンセットを新設し土壁を耐火ボードに変えたら、明るくきれいなキッチンに大変身。
 これを機会にルンルン気分でメジャー片手に家具を移動させ、いろいろ部屋の模様替え。これで当分大丈夫と思っていたら孫が「僕はパパにどうしても言っておきたいことがある」と婿さんをどこかへ連れて行った。「壁紙にひびが入ってるじゃない。僕は早く直してあげた方がいいと思うよ」だって。
  2018.09.19 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2018年9月 8日 (土)

動き出す

      岩国市  会 員   樽本 久美

 親子書道展が無事終わった。85歳の母と56歳の私の書道展である。会期前に母は腕を骨折し入院。幸いにも近くの病院だったので、外出許可をもらい会場に。「こんな古い作品がよく見つかったね」と母のうれしそうな言葉。たまたま家の掃除をしていたら、母の作品がたくさん見つかり、今回の書道展を思いついた。生きている間に少し親を喜ばせることができたかな?

 母はもうすぐ退院し、老人ホームでの新しい生活となる。そのホームで私も、お年寄りと一緒に遊書を楽しむ。小学生の時に書いた私の将来の仕事は、書道の先生。 

   (2018.09.08 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2018年9月 7日 (金)

異常だった夏

   岩国市   会 員   片山清勝

 今年の暑さは「殺人的」という恐ろしい表現があった。そのためか熱中症で救急搬送された人は記録的な人数になった。
 暑さは人だけではない。路上に、あおむけで息絶えているセミを何匹も見かけた。カブト虫が暑さと水不足から、全滅に近い放し飼い施設は閑散としている。
 一方で、うれしい異変もある。暑くなって一度も蚊に刺されなかった。こんなことは初めてだ。連日の猛暑が蚊の活動を止めた、こんな珍説をたて出番のなかった蚊取り線香をしまう。
 エアコンをこれほど使う夏は今年で終わりになってほしい。  
 

    (2018.09.07 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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見直したよ

    岩国市  会 員   横山 恵子

 「すごい! まだ担いで歩いているよ」とテニス仲間の声。 

 「何事かな?」と思ったら「人に踏まれたのかね。砂に半分埋まって動かなくなったアリを仲間が担いでいる」と言う。 

 やがて巣らしき中に入った。「人間社会では見て見ぬふりをする人が増えたけど、見習わんといけんね」と、ひとしきり。 

 それにしても同じくらいの重さの仲間を担ぐなんて。そのうえ外で餌を探す働きアリの多くは年をとっていると聞き、ビックリ。 

 この酷暑の中でも老体にムチ打って働いているアリたちに活を入れられた。 

   (2018.09.07 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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