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2018年10月

2018年10月31日 (水)

輝け!期待の星

     岩国市  会 員   森重 和枝 

 

 妹の中学3年の孫が英語暗唱弁論大会で優勝し県大会に出た。文化祭で発表するというので同伴した。まず大勢の保護者で混雑する会場に驚いた。
 混声合唱、演劇、吹奏楽は金賞を取っているハイレベルな発表に感心するばかりだった。いよいよ個人発表が始まった。「タイタニックのエヴァンス」。流暢な英語が続く。手をあげて叫ぶところは映画のシーンが浮かぶ。所々単語が分かる程度なのが残念。堂々と10分間の英文を暗唱している姿をビデオで撮りながら感動しウルウルする。
 この才能が、これからもっと輝いていくことを願う。
   (2018.10.31 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2018年10月27日 (土)

城下町の医院

   岩国市   会 員   片山清勝

 城下町の風情が残る通りの医院には、大きな病院では味わえない「待合室」がある。
 玄関は自動ドアだが、迎えてくれるげた箱は棚が数段ある木製。懐かしい昭和を感じさせる。履物をしゃがんで持ち上げ棚に置く所作は並んではできない。 「どっこいしょ、お先に」と、待っている私に高齢の女性が声を掛けた。
 受付は木枠の小さな窓である。壁に沿った長椅子に腰掛けて順番を待つ。床は板張りで、その色つやは先代から続く歴史を感じる。
 壁には、手書きのお知らせや患者寄贈の手芸品が飾られて、落ち着きと安らぎが漂う。隣り合わせた人と会話も弾む。まさに辞書通りの「患者が順番を待つ部屋」待合室である。
 先生は海外旅行が趣味のようで、盆や年末年始の休診はほかの医院より少し長めに感じるが、息抜きは患者のためになる。
 休み明けに展示される写真を楽しみにしている。今は数枚、南イタリア・シチリアの紺碧の空と海、そこに暮らす人々を見ることができる。いつも自然のままに撮られていて、親しみやすい。一枚一枚見ながら、医院の構えと先生の趣味の差異にユーモアを感じている。
 支払いを済ませた高齢の女性が「タクシーを呼んでください」と受付に頼み10円硬貨を渡した。ここ待合室ならではの光景だ。
 順番が来た。手書きのカルテを確認しながらの治療は、パソコンにはない信頼とぬくもりがある。

      (2018.10.27 中国新聞セレクト「ひといき」掲載)

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2018年10月20日 (土)

車いす磨き

   岩国市  会 員   吉岡 賢一

 地域の社会福祉活動の一つとして、特別養護老人ホームなどを併設する大型介護施設の「車いす磨き」に、年10回取り組んでいる。1回につき約15人が2時間かけて、45台ほどを磨き上げている。中には想像を超える磨き甲斐のある車いすもある。作業の担い手の多くは、施設利用者と同年齢か少し若い男女だ。自主的に参加、協力しあって進める。

作業をしながら「やがて私たちもここでお世話になるかもねー」とか「こういうことはできるときにやっておかないとねー」と、元気に活動できる今を喜ぶ会話が弾む。「やがて行く道」を改めて実感する。

そして思うのは、間もなく10年目の祥月命日を迎える母が存命の頃、今と同じように「老いを敬う気持ちで母に接して来たか」という疑念と悔恨である。

10年前の自分は「まだまだ若い」の一点張りで「老い」と向き合う真摯な気持ちが極めて薄かった。もちろん今だって「まだまだ、やりたいことがあるな~」という欲深い気持ちに変わりはないが、一方で自分の年齢を意識し、老いを人ごとと思えない自覚に目覚めたのも確かだ。今こうして地域活動に取り組んでいるのも、その昔母にしてやれなかった不孝を、遅ればせながら取り戻そうとしているのかもしれない。

「孝行をしたい時分に親は無し」。


   (2018.10.20 毎日新聞「男の気持ち」掲載)

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まず一歩

          岩国市  会 員   村岡 美智子

 月日はあっという間に流れる。投稿に興味があり、1度他紙に掲載されたのは16年前のこと。その後も出してみたいという思いだけで、何の努力も行動にもいたらず流れた日々。

 今回「岩国エッセイサロン」に入会させていただくことになった。自己啓発を図り輝いて生きることを目指す志高い目標の会だ。そのようなお仲間に加えていただいて私もまだまだこれからの人生を輝かせたい。

 諸先輩方の随筆は、かなり高度で、よぎる一抹の不安。続けていけるだろうか。まずは紙とペンを持とう。66歳新参者の挑戦。皆さん、どうぞ、よろしく。

   (2018.10.20 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2018年10月12日 (金)

アコーディオン

      岩国市  会 員   樽本 久美


 今年は先月末の父の誕生日を祝うことができなかった。昨年85歳で亡くなった父。今、母は、老人ホームに入っている。そのホームで、父が残してくれたアコーディオンを私が弾いている。私はピアノは習ったが、アコーディオンを弾いたことはなかった。本当に自己流である。

 父は会社で音楽隊に入っていて、多くのホームに慰問演奏会に行ったようである。子供会では、よくキャンプに行き、みんなを楽しませてくれた自慢の父であった。実家で書の練習をしている私。仏壇の前に鎮座している父のアコーディオンを見るたびに「誰か弾いてくれる人はいないかな」と思っていた。

 そうだ、私が弾いてあげるのが一番の父への供養ではないかと思うようになった。

 毎週、ホームで遊書を教えている。施設の人に相談したら「ここにアコーディオンを置いてもいいですよ。あなたが来た時に弾いていいですよ」とありがたい言葉をいただいた。

 感謝、感謝である。母の面倒を見てくれて、いろいろな講座をし、みんなを楽しませてくれる施設の人たち。頭が下がる。

 講座の後には、アコーディオンを引っ張りだして、へたくそであるが「故郷」や「ジングルベル」などを弾いて、みんなと一緒に歌って練習させてもらっている。父が亡くなって、実家に鎮座していたアコーディオンが新しい居場所を与えてもらった。

 結婚前、私のピアノで父がアコーディオンを弾いた「瀬戸の花嫁」。今年は何とか私がスムーズに弾けるようになりたい。

 (2018.10.12 毎日新聞「女の気持ち」掲載)

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2018年10月11日 (木)

世代交代

     岩国市  会 員   上田 孝

 「あっ、いた!」「こら待てー」。夏休みにやってきた男の孫2人。恐竜が大好きでDVDを繰り返し見ては興奮している。ならばと庭に出没していたカナヘビ探検に。すばしこく逃げ回るのを2人で追いかけ回す。1人は、声は勇ましかったが、いざ私が捕まえるとへっぴり腰で見てるだけ。もう1人は緊張しながらも手でつかんだ。しばし大騒ぎ。カナヘビにとっては相当なストレスだったろう。

 その後1カ月ほど姿を見せなかったが、先日、二回りほど小さいやつを発見。どうやら世代交代か。来年はお前が相手だ。元気で冬を越せよ。

    (2018.10.11 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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