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2019年2月

2019年2月26日 (火)

 仲間がいる

      岩国市  会 員   安西 詩代

 見上げると、あちこちから集ってきた数十羽のカラスの異様な声。グルグル回り、おのおのが何かを叫んでいる。  

近くの電柱の電線が輪になっている部分に1羽のカラスが足を挟まれて羽をバタバタさせている。その上段で2羽が心配そうに下を眺めている。空では集った仲間が「こうしたら良いよ」「頑張れ!」と言って飛び回っている。 

折しも競泳の選手の病気発表にいろいろな方面の方々の温かいエールが届いている。どこでも仲間がいる。そしてカラスは人に助けられ、鳴き声を残して青空に消えた。 

 (2019.02.26 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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2019年2月22日 (金)

散 歩

   岩国市   会 員   片山清勝

 散歩中、たまに立ち話をする人がいる。「じいちゃん、散歩よりウォーキングと言った方がカッコいい」と孫に言われるらしい。若々しい人だから、その通りかもしれない。
 私は定年後に歩き始めたから、今年で19年目だ。最初から10年近くは朝4時に起き、6㌔ほど歩いた。ブログにも会話でもちょっと自慢げに「ウォーキング」としていた。退職してからの健康維持のため、手足を大きく動かすことと歩数、時間を意識した。
 少し体調を崩してから、医師の指導もあって早朝ウオーキングを止め、昼間に歩くことにした。そして表現を「散歩」に変えた。健康のために歩くという点は共通しているが、ウオーキングほどにはノルマ感のない歩き方になったからだ。     
 歩くことの重要性を再認識したのは、初めての入院だった。
 がんの手術前、「しっかり歩くことが回復への近道」と主治医から説明かあった。手術の翌日から院内の廊下を指導受けながら歩いた。続けることで退院への自信がつき、おかげで普通の生活にすぐ戻れた。
 先日、親戚の一人が脳梗塞で入院した。症状が安定すると、時を置かず歩行などのリハビリが始まった。退院後を考えれば苦しくても欠かせない。
 「歩いていける」 「歩いて帰れる」。こうしたごく普通のことができることを幸せに思う。年は足からくる。人生も一歩一歩が大切、散歩もそれに通じる。だから今日も出掛ける。

    (2019.02.22 中国新聞セレクト「ひといき」掲載)

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2019年2月 4日 (月)

どちらが長生き?

    岩国市  会 員   上田 孝
 

冬本番となり、海沿いの散歩コースにも渡り鳥が増えた。いずれも住む人の少ない北方から渡ってきたはずだが、警戒心は種類によって差がある。ヒドリガモは、こちらとの距離がかなりあっても一斉に岸から遠ざかるが、カルガモはほとんど逃げない。マガモはその中間ぐらいである。

 どちらが生き残りに有利か。用心深いと襲われる確率は減るが、いつも周りを伺って緊張している。人が通るたびに遠ざかっては戻るという無駄なエネルギーも消耗している。あれ?これ、どこかの夫婦のようだ。さてどちらが長生きするか。
 
   (2019.02.04 毎日新聞「はがき随筆」掲載) 

 

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2019年2月 1日 (金)

「小豆作り」

    岩国市     会 員         吉岡 賢一

 娘の嫁ぎ先から毎年末、大量の小豆と黒大豆が届けられる。楽しみであり、感謝に堪えない。大粒で赤く輝く小豆は、餅に入れるあんこやぜんざいに変身する。
 粒ぞろいの立派な黒大豆は、おせち料理に欠かせない煮豆となる。
 手にとって、ありがたいことだとしみじみ考えるうち、自分の手で一度、小豆を作ってみたくなった。昨年のことである。それで初夏が来て、借りた狭い畑に一握りの種をまいた。間もなく畑一面に見事な芽が吹き出た。「わりと簡単にできるんじゃなかろうか」と喜んだのが、大間違いだった。
 昨夏は記録的な暑さが続いた。水やりだけでへとへとになった。それでもわれながらよく頑張った。
 だが、秋口に差し掛かる頃、目に見えて勢いが弱ってきた。「けっこう実を付けているので大丈夫」と自分に言い聞かせた。安心したかった。
 やがて虫が付くようになった。無農薬が取りえの家庭菜園である。消毒は控えた。結局、種まきに使った量の3倍程度、1合にも満たないささやかな収穫となった。「赤いダイヤ」と呼ばれる小豆は、素人の手で簡単に作れるほど甘くなかった。
 収穫した全部を使ってぜんざいを炊いた。おわんにして3、4杯分しかなくても、食感は紛れもなく大粒の小豆である。
 さて今年はどうするか。種にするより、おなかに入れる方が賢明か。

          (2019、2、1、 中国新聞セレクト「ひといき」掲載)

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